第27話 誓い合った日

☆横田春樹(よこたはるき)サイド☆


その夜の事だった。

俺はあまりの事に眠れずウトウト状態で居た。

それは...あのキスの事だ。

舌を入れて愛花と大人のキスを交わした。

その事が忘れられない。


「...俺も変態だな」


そんな事を呟きながら俺はリビングで毛布にくるまっていた。

因みに愛花は俺の部屋で、彼方さんは来客室で寝ている。

俺の部屋のベッドで愛花が寝ている。

あまりの事に俺は心臓がバクバクしている。

正直「寝て良いよ」って言ったのは俺だけどだ。


「...寝れない」


その様な事を呟きながら起き上がる。

そして時計を見る。

時計の時刻は2時を指している。

まだこんな時刻かよ。

困ったもんだ。


そう思っているとドアが開いた。

それから「春樹くん」と愛花が顔を見せる。

俺はドキッとしながらその顔を見る。


艶やかな髪色。

そして潤んだ目をしていた。

な、何でしょうかね?


「寝れなくてね。ごめんなさい」

「...ああ。それだったら俺も寝れなくてな」

「し、心臓がバクバクしているから」

「...お前も大概だな」

「そういう春樹くんもえ、えっちな事を考えたんでしょ」


そう言いながら愛花は俺の方にやって来る。

それから同じソファに腰掛ける。

そして見上げてきた。


俺はその姿に更にドキッとする。

正直言って愛花は滅茶苦茶可愛い。

だからこそ。


「...ね」

「何だ?」

「私達って結ばれるのかな」

「...それはどういう意味だ」

「まだ佐藤一族が見放した訳じゃ無い。だから怖いの」

「...何はともあれ潰れるだろ。そういう事ばっかりしている財閥は解体か何か」

「化粧品メーカーだしね」

「そうだ。いずれにせよ俺は...お前を渡さない。愛しているから」


そう言いながら俺は愛花を力強く見る。

愛花はボッと真っ赤になってからモジモジする。

それから「有難う」と言ってくる。

そしてまた無言になる俺達。


「...ねえ」

「...はい。今度は?」

「...胸を揉んでみない?」

「...何でだ?」

「...女性ってね。好きな人に胸を揉まれると...フェロモンが出るって言うから。胸が大きくなるっていう」

「そういうのは無しって言わなかったか」

「...我慢って思ってた」


俺は「?」を浮かべて愛花を見る。

すると愛花は「そう思ってた」と言う。

愛花は潤んだ目を向けてくる。

「だけど...どうしても貴方を求めてしまう」と言ってくる。

その言葉に俺は首を振った。


「...愛花。我慢だ。...今は」

「...そうだけど...胸を揉むぐらいなら良いんじゃないかな」

「スケベだなお前」

「...自分でも分からないよ。本当に何でこんな事を言うのか。だけど...私、佐藤一族に傷を入れられるぐらいなら今やってしまいたい。貴方の温もりを感じたい」

「...」


そして愛花は何を思ったか俺の手を握ってから自らの胸に押し当てる。

それから「結構柔らかいでしょ。女の子の胸って」と笑みを浮かべてくる。

正直もう全てが爆発しそうだ。

何もかもがだ。

だけどこれでやってしまった場合。

駄目だ。


「ねえ。横田くん。揉んでみて」

「愛花。もう色々と爆発しそうだから...」

「...性欲が?」

「...そうだ。俺も10代だぞ。無理があるぞこれ以上は」

「...」


愛花は胸に手を添える。

そしてあろう事か俺の下半身を見つめてくる。

「そっか。爆発しそうなんだね」とニコッとする。

俺は赤くなって逃げる。

そして愛花から距離を取った。


「愛花。止めとこう。今は」

「...でももう私も結構我慢できなくなってる」

「...分かる。だけど妊娠してしまったりしたら...」

「...そうだね。...だけど」


そう言いながら愛花は涙を浮かべる。

それからその場で頭を下げた。

「こんな状況。私、初めての人は貴方が良い」と言ってくる。

その言葉に俺は衝撃を受けて愛花を見る。


「...このままいっそ佐藤一族に何も出来ずにもしこの先やられてしまうなら初めては貴方が良い。それに今日はあ、安全日...だ...から」

「...」


愛花は俺を思いっきり押し倒す。

それから強引に襲い掛かってきた。

何も出来ず俺達は一晩。

勤しんだ。



「...」

「...」


正直やってしまった訳であります。

その事は滅茶苦茶デカい。

寝不足だ。

顔を見合わせても反省しかない。


目の前の彼方さんは「???」を浮かべている。

流石に今回の事は知られなかった様であるが...やってしまった。

成り行きとは言え何をしているんだ俺は!!!!?


「...どうしたの?愛花に春樹くん」

「な、何でもないよ。お姉ちゃん」

「...???」


彼方さんは「寝不足なの?」と聞いてくる。

俺達はその言葉に「はい...」とクマの出来た目で反応する。

「まあ勉強でもしていたんだろうけど無理は駄目だよ?」と彼方さんはお茶を飲む。それから苦笑した。


その事に俺達は顔を見合わせてまた真っ赤になる。

何をしているんだろうか。

成り行きとはいえ本番をしてしまうとはえらいこっちゃ。


そう思いながら考える。

だけど...何だか人の温もりを持てて愛情が持てた。

本当にそれを強く思えた。

正直まだ早いと思うからこれで止めておこう。

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