第26話 愛

☆佐藤愛花(さとうあいか)サイド☆


正直...を言うと。

物凄く恥ずかしいのだが。

何というか春樹くんの部屋に泊まるとは思わなかったからだ。

思いながら私はシャワーを浴びてからパジャマを着てから春樹くんの部屋に行く。

春樹くんは私を見てから見開く。


「...これね。この前、購入したばかりのパジャマなの」

「そ、そうなのか」

「きゃ、キャラクターもので申し訳無いけど。子供っぽいかな」

「...そ、そんな事は無いけど...」


そんな感じで話しながら背中合わせになる私達。

それからお姉ちゃんがいびきをかいているその前で会話をする。

「今日はゴメンね」と言いながらだ。

すると春樹くんは「?」を浮かべて私を見てくる。


「何がだ?」

「私達がお邪魔でしょ?...ゴメンね。お姉ちゃんが酔っぱらっちゃったもんだから」

「邪魔じゃない。...む、むしろ...嬉しい」

「...そうなの?」

「うん」


そんな会話をしながら私に笑みを浮かべる春樹くん。

私はボッと赤面してから顔を逸らした。

それから目の前を見る。

チックタックと時計の針が進む音がする。

あとお姉ちゃんのいびきだけの部屋。


「...ねえ」

「...何だ?」

「お姉ちゃんが言ってたよね。...舌を入れてみてって」

「...そ、それがどうした!?」

「わ、私はえっちな事は嫌い。...だけど春樹くんと一緒なら身体を重ねても良いかなって思う」

「馬鹿野郎。俺達はまだ高校生だ。早...」

「でももう17歳だよ」


そう言いながら私は四つん這いになる。

それから春樹くんに迫ってみる。

どういう反応をするだろうか?

そして私は犬の様に歩き出す。


「...ま、待て!早いって!」

「...そうかな。私達だよ?...キスもしたよ?...じゃあ次は何をするの?」

「分からないでも無いけど」

「...じゃあ...少しだけでもえっちな事しても良いよね」

「待ってくれ」


春樹くんの胸元に手を添える。

それから春樹くんは横を見つめる。

横ではお姉ちゃんが爆睡している...から。

絶対に気が付かない。


「...待て。マジに...駄目だって」

「...でも春樹くん。私達は次に何をすればいいか分からないよね」

「そう言うのは結婚してからじゃないと」

「結婚するならもう...」


それから私は顔を見上げた。

そして春樹くんの唇に唇を添えてみる。

そうしてから春樹くんの両頬を掴んでからそのまま素人ながら舌を入れてみた。

ずっと舐めてみる。


「...」

「...」


キスが数十秒を超えた。

何か身体が滅茶苦茶熱い。

熱すぎる。

活火山から出たマグマかなってぐらいに。

私は春樹くんの頬を掴みながらそのまま1分経った頃に離した。


「...どうかな?」

「...め、ちゃ、くちゃ...うん」

「アハハ。そうなんだね」

「...お前。本当にやるのか」

「...でもやっぱり止めとく」


そして私は春樹くんを見据える。

正直...このままやってしまっても良い。

だけど春樹くんが言う通りだろう。

万が一...妊娠とかしてしまったらマズい。


「...私はこの感情は貴方と結婚するまで取っておきます」

「...そうだな。それが良いよ。きっとな」

「...」

「...」


でも何か名残惜しい。

そう考えながら私は春樹くんを見る。

春樹くんは笑みを浮かべながら「お前の愛情を受け取ったよ」と言葉を発する。

私はその言葉に恥じらいながら頷く。

すると横でごそっと音がした。


「...良いねぇ。若いって」

「なぁ!!!!?」

「お姉ちゃん!!!!?起きてたの!?」

「途中からね。...遂に舌を入れてしまったんだね」

「...あう...」

「若いのう。アッハッハ」


それからお姉ちゃんは笑顔を浮かべる。

そして私達は恥ずかしくなってから顔を背けた。

正直今の行為を見られていたとは。

滅茶苦茶恥ずかしい。


「...愛花達に話したっけ。私の高校時代の恋人の話」

「...いや。初耳だよ。お姉ちゃん」

「そっか。...私ね。大切な恋人が居たんだ」

「そうなんだ...」

「そうなんですね」


そう反応しながらお姉ちゃんを見る。

するとお姉ちゃんは複雑な顔をしてから悲しげな顔をした。

それから「だけど毒親に別れろって言われてね。別れたんだ。私はマネキンみたいなものだしね」と言ってくる。

私はその言葉に静かな怒りが湧く。

まさか。


「...私はお姉ちゃんだったしね。だけど私はその時に決めたんだ」

「...何をですか?」

「私は...妹にそんな真似はさせないって」

「...そうなんですね」

「...お姉ちゃん...」

「だから私はイチャイチャしている貴方達を見て幸せだよ」


そう言いながらお姉ちゃんはまた酒をあおる。

そして「ふぅ」と息を吐く。

それから涙を浮かべる。

そうしてから呟いた。


「とっても良い人だったんだけどね」

「...」

「...分かります。その気持ち。俺は立場は違いますけど」

「...春樹くん...?」

「彼女に浮気されましたし」


そう言いながら春樹くんは自嘲しながらお姉ちゃんを見る。

そして「彼方さんはきっと良い人が見つかります」と言った。

「幸せになって下さい。俺も協力します」とも。

お姉ちゃんはその言葉に頷きながら春樹くんを見つめる。


「有難う。春樹くん。...別れたその人に似ている。君は」

「...」

「...春樹くん達が幸せになる様に努力するからね」

「有難う御座います。...彼方さん」

「それは私にとっては義務の様なものだからね」


そして酒瓶を持ってから「じゃあ先ずは酒飲む?」と言うお姉ちゃん。

私は「こら!」と怒った。

するとお姉ちゃんは「冗談だって」と言いながら苦笑して春樹くんを見る。

春樹くんは笑みを浮かべながらお姉ちゃんを見ていた。

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