第25話 募る恨み

☆伊藤信孝(いとうのぶたか)サイド☆


(春樹達のパーティーの数時間前)


自転車に衝突する交通事故に遭ったんだが。

そして俺は...足をねん挫した。

その影響で浮気の件とか全てがバレそうになった。

だから俺は須崎シノンを咄嗟に捨てた。


須崎シノンが俺に接触して来てそれから狂った。

ふむ。シナリオは完璧だ。

大丈夫だろう。

そう思るのだが。


何故なら俺は柔道部のトップに選ばれようとしている。

こんな事で砕けてたまるか。

そうだ全てはアイツが悪いのだ。

横田春樹。

アイツさえ居なければこんな目には遭わなかった。


正直、天罰が下ってほしい。

俺からはもう何も出来ないしな。

須崎シノンと最初に付き合っていた人間だ。

そして須崎を狂わせた人間。

俺は許さない。


そんな事を考えながら俺は松葉杖で歩く。

それから周りのクラスメイトが噂をしてくる。

須崎が捕まったってという話を。

俺は高みの見物だった。


全て須崎のせいにしたからな。

俺はあくまで何も悪くない。

そう思いながら松葉杖をついて歩いていると目の前に柔道部の主将の坂本遊(さかもとゆう)がやって来た。

それから「状態はどうだ」と聞いてくる。


3年生で偉そうなクソ主将。

俺はその先輩に笑みを浮かべて「大丈夫です。先輩」と答える。

それから笑みを浮かべていると「そうか。実はな。お前の噂を弟から聞いてな」と言葉を発してきた。


「何の噂っすか?」

「お前が須崎を嵌めたという噂だな」

「はぁ?」

「...俺の弟はな。別の学校に通っている人間でね。...お前は何か。女の子をとっかえひっかえしている様な屑だと聞いた」

「...」

「...すまないがお前が次期主将になる事は無くなったと思ってくれ」


そう主将...は言ってから去った。

俺はイラッとしながら松葉杖をバァンと床に叩きつける。

クソがクソがクソが!!!!!

何だあの態度は!!!!?

すかした顔しやがって!!!!!


「...何だって?俺が次期主将じゃない?どうなっているんだコラァ!!!!!」


俺はそう絶叫しながら松葉杖を拾ってからそのまま歩き出す。

せっかくここまで頑張ってきたのに。

何でこんな目に遭わなければいけないんだクソが!

クソがクソがクソが!!!!!


「...全部アイツのせいだ。...あの負け犬が」


そんな事を呟きながら俺はブチきれたまま歩き出す。

それから教室に戻った。

そして授業を受けるがイライラが収まらなかった。

俺が何をしたっていうんだ?


☆佐藤愛花(さとうあいか)サイド☆


いきなり春樹くんの家に行ってパーティーが始まった。

それから私は神コップに入ったジュースをゆっくり飲み干す。

目の前のお姉ちゃんは酔っぱらって春樹くんに絡んでいた。


「そいでー!春木きゅんはわちしのおっぱいはすきぃ?」

「待って下さい。彼方さん!?胸をおし、押し付けないで!」

「お姉ちゃん。べろんべろん。いい加減にして」

「えー!じゃあ裸踊りしたらおちつくー!」


めっちゃビール臭い。

私はそう思いながら鼻を摘まむ。

それからお姉ちゃんを見る。

軽蔑の眼差しで、だ。


「でもねぇ。...私、ほんとうに嬉しいんだからぁ」

「...何が?お姉ちゃん」

「付き合っているのがぁ」

「...そうだね。お姉ちゃん」


そんな会話をしながら私は春樹くんを見る。

そして苦笑し合う。

それからお姉ちゃんをまた見る。

するとお姉ちゃんはそのまま寝てしまった。


「ゴメンね。春樹くん。連れて帰るから」

「...ああ。...ああいや。お前も止まったら良いんじゃないか?」

「ふぁ?」

「いや。彼方さんを横に連れて行けないしな」

「...そ、それは...」


私は真っ赤になりながら春樹くんを見る。

え?と、泊るの!?

私はお姉ちゃんを見てから春樹くんを見る。

「どうせ明日休みだしな」と言いながら春樹くんは毛布をお姉ちゃんに被せる。

「それにお前だけじゃ不安だしな」とも言いながらだ。


「...ならお世話になろう...かな」

「そうだな」

「...ゴメンね。本当に」

「気にすんな。これも予想通りさ」


そう言いながら春樹くんはニコッとする。

それからぐーすか寝ているお姉ちゃんを見ながら「先ずは風呂に入ったらどうだ」と聞いてくる春樹くん。

私はその言葉に「自分の部屋で浴びてくるから」と赤くなって立ち上がる。

そして私はそのまま歩いてから玄関まで向かう。


「えと。パジャマとか...と、取って来るから」

「お、おう」

「...へ、変なパジャマだったらごめんなさいだけど」

「...い、いや」


私の言葉に赤面してごくりと唾を飲む春樹くん。

それから私はその姿にドキッとしながら部屋から慌てて出る。

そして自室に帰ると...膝から崩れ落ちた。

興奮しているのだろうか私に。

それを考えると...何だか自律神経が壊れた様に滅茶苦茶に身体が熱くなった。

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