第24話 素行不良
☆横田春樹(よこたはるき)サイド☆
俺達は猫カフェにやって来た。
それから各々コーヒーやら紅茶を注文する。
名前は分からないが沢山の種類の猫が居て...彼方さんはその1匹1匹を慎重に撫でている。
俺はその姿を見ながら「彼方さん」と聞いてみる。
「...何?春樹くん」
「...その。アイツ。須崎が義妹だったっていうのは」
「...私は親戚の彼らから須崎シノンを預かる様に言われたから一緒に暮らしていたけど素行が悪くてね。それもどうしようもないぐらいに。お金を目当てにするし」
「そうなんですね」
「そう。もう今となっては関係性無いけど」
そう言いながら肩を竦める彼方さん。
その姿を見ながら猫を撫でる。
それから考えていると「お姉ちゃん」と今度は愛花が聞いた。
彼方さんは「うん」と愛花を見る。
「須崎は何をしたかったのかな」
「...分からないね。...正直。...だけど自分の気に入ったものを収集。要らなくなったら見下す様な趣味があったからね。それも中学校時代からだろうけど」
「...それは酷いね」
「そうだね。...うん。まあ...だから捕まった方が良いんだよ。彼女は」
愛花は紅茶の波打つ面を見る。
俺はその姿を見てから「彼方さんなりにはどうなってほしかったんですか」と聞いてみた。
すると彼方さんは苦笑しながら紅茶を飲む。
「そりゃ難しいけど...更生かな」
「...そうですね」
「...義妹になって6カ月目で逃走したからね。あの子。だけど悪い事ばっかりしていたから丁度良かったかもだけど」
「それはどういうのですか?」
「うーん。ガラスを意図的に割ったりとか?」
そりゃ素行不良だな。
俺は考えながらコーヒーを飲む。
それから外を見た。
素行不良の少女...で...結局警察か。
どうなるんだろうか。
「人の心を嘲笑う時点で人生がいかれている。...彼女には大いに反省してほしい」
「...そうだね。お姉ちゃん」
「それは確かにですね」
そして足元に居る猫を撫でながら俺達を苦笑いで見てきた。
俺はコーヒーカップを置きながら「どうなると思いますか。須崎は」と聞いてみる。
彼方さんはゴロゴロ言う猫を抱えながら考える。
それから答えを言った。
「私なりに考えても須崎は警察送りにはなると思う。だけど...そうだね。起訴であれ不起訴であれ反省してほしいかな」
「...ですね」
「...お姉ちゃんは結構きつい人生を歩んでいるね」
「貴方に巡り合う為に汚い事ばっかりしたよ。...それをしないと一族は許さなかったからね」
「...彼方さん。佐藤一族ってどういう一族なんですか?」
「簡単にいえば化粧品メーカーの財閥だね」
そう言いながら「だけどまあ自分達の事しか考えてない愚かな連中だよね。...私の妹もそうだけど利用するし」と言いながら苛立つ様な感じを見せる。
猫が逃げたぐらいに。
俺はその顔を見ながらまた考える。
「...有名化粧品メーカーの財閥...故に絶望しかない」
「...それってつまり...」
「男の子じゃ無かったから。自分たちが生んだのが。だから腹立てているだけじゃないかな」
「...またそれですか。どっかの国みたいですね」
「所詮はそんなものだよ。この国の首相が女性がやってないでしょ?それと同じ事であり女性はいつだって不平等だから」
彼方さんはそう呟きながらイライラを抑える様に猫を抱いた。
そして撫で始める。
俺はその顔を見ながら愛花を見る。
愛花は複雑な顔をしていた。
すると愛花の足元に白い猫が来た。
擦り寄って来る。
「にゃー」
「...貴方...」
「撫でてやったらどうだ?愛花」
「...そうだね」
そして愛花は静かに撫で始める。
猫は静かにされるがままになっていた。
その顔を見ながら愛花を見る。
愛花は嬉しそうな顔をしていた。
「まあとにかく」
「...?」
「...例え財閥の連中が愛花を取り返そうとしてももう許さないから。縁を切る覚悟で挑むつもりだからね」
「...お姉ちゃん...」
「私は絶対に許さない。だって...最愛の妹がこんな目に遭っているんだから」
「...変わらずだね」
そう話し合う姉妹。
俺はその顔を見ながら猫を撫でる。
それから他愛無い話をしてから俺達は帰る事にした、と思ったら。
☆
「パーティーをしたい」
「...いきなりどうしたんですか?」
「春樹くんの家でね」
帰って来たらいきなりインターフォンが鳴ってそう言われた。
俺は驚きながら2人を見る。
愛花と彼方さんだ。
俺は「いや。別にいいっすけど」と言いながら自宅の中に案内する。
「サンキューだよ。...おや?随分と片付いているね?」
「これも全て愛花のお陰です」
「そうか。愛花はこんな男の子の部屋に容赦なく入る様な痴女だったんだね」
「お姉ちゃん。死んで」
「酷いね」
そんな会話を聞きながら俺は苦笑する。
それからさっきの某有名チェーン店のフライドチキンの袋を見せてから彼方さんは「ここで食べようかなって思ってね。せっかくだし」と言った。
俺は苦笑しながら「はい」と言う。
愛花は額に手を添えていた。
「じゃあコーラでも入れますね」
「そうだね!じゃあみんなで楽しもうじゃない!」
「お姉ちゃん。はしゃぎ過ぎだよ」
「私はいつもこんな感じだよ」
そして彼方さんはチキンを並べ始めた。
というか何故かピザもあった。
(どこから買ってきたのやら)と思いながら俺は苦笑いを浮かべる。
だけど。
こんなに楽しいのは久々な感じがした。
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