第23話 須崎シノンと佐藤彼方の関係性
☆佐藤愛花(さとうあいか)サイド☆
本当に須崎は何がしたかったのだろうか。
そんな事を考えていたら授業が終わってしまった。
私は春樹くんと一緒に帰る。
須崎が襲撃して来てから学校が何か変わった気がする。
そう考えていると春樹くんが空を見て呟いた。
「...須崎は...懲りたかな」
「...私は懲りたって思いたいね。...本当に」
「...そうだな。それは俺も思いたい。彼女は...仮にも俺の彼女だったから」
「...春樹くんはなんで須崎と付き合い始めたの?」
「俺か。俺は...須崎が好きだったから告白したんだ。それからこんな感じだよ」
そうなのか。
私は春樹くんを見ながら顎に手を添える。
そして考えていると春樹くんは「でも今となってしまうとな。...アイツにはもう未練も無い。ただ1つ望むなら何処に行ったとしても反省してほしい。それだけだな」と言葉を発しながら鞄を背負いなおした。
「...そうだね」
「俺はアイツに期待していた。これでもな」
「だね」
「...それがこんな形でパーになるとはな」
「それは確かにね」
そんな話をして帰っていると「おーい!!!!!」と声がした。
顔を上げるとお姉ちゃんが某有名チェーンの揚げたチキンの袋を見せて手を振っているではないか。
私は恥ずかしくなって春樹くんの背後に隠れる。
すると春樹くんが隠れた背中を押してきた。
「...行けよ。お前の大切な姉だろ」
「...そうだけど...子供っぽくって」
「...俺はお前が羨ましいぞ。あんな感じで姉貴が居るのが」
「...そういえば春樹くんのご両親は...」
「今は仕事が忙しくてな。それで今の状態だ」
「そうなんだ」
そうしているとお姉ちゃんが横断歩道を渡ってからこっちに駆け寄って来る。
「フライドチキンパーティーをしようよ」と言いながらだ。
私は「もう。そんなものばっかり食べていたら体壊すよ?」と文句をたらたら。
するとそんな某有名チェーンの袋を下ろしながらいきなりお姉ちゃんはハッとしてから何かを思い出す。
「あ」
という感じで。
そして「ねえねえ。須崎シノンって子が捕まったよね」と言い出すお姉ちゃん。
何でそれを知っている。
考えながら私はお姉ちゃんを驚きの眼差しで見る。
お姉ちゃんは苛立つ様な。
だけどその中で嬉しそうな笑みを浮かべる。
「まあ嫌いだったから」
「...やっぱり何か家に関係しているの?」
「そうだね。先ず愛花とのお見合いを設定したのはそいつ等だから。キモい奴とお見合いね。...だから嫌いってのもあるけど」
「...?」
「...須崎シノンは私の生き別れた義妹なの」
あまりの事に愕然とした。
それから顔を見合わせて足が止まる。
「はい?」という感じでだ。
そしてお姉ちゃんを見る。
「...と言っても私が数か月預かってほしいって言われたんだけどね」
「...」
「...そして実家に帰ったらこれだからね。もうどうしようもない」
「...そうだったんだね」
「私は数年居ない間に結構出会い別れを繰り返しているよ」
そう言いながら皮肉交じりの笑みを浮かべる。
私は春樹くんを見る。
春樹くんはお姉ちゃんに質問した。
「なぜあんなに荒れたんですかね?」という感じでだ。
「...分からない。そして彼女の意とは汲み取れなかった。...半年一緒に暮らしたけどね」
「...そんな事になっているとは思わなかったです」
「そうだね。私も思わなかった。そして補導されたしね。今回」
「建造物侵入とかになりますか?」
「捕まるかもね。確かに」
そう言いながら紙袋からジュースを取り出して飲み始めるお姉ちゃん。
私達にも渡してきた。
ジンジャエールとかだ。
私はその受け取ったカップに写る自分を見ながら「お姉ちゃんはどうしたかったの」と聞いてみる。
「彼女には真面目に生きてほしいって思うよ。こうなった以上はね」
「...まっとうって事?」
「そうだね。まっさらな状態からのスタートだろうけど」
「...そう、だね」
そしてお姉ちゃんは周りを見渡してから「ねえねえ。2人とも。時間空いてるかな?」と聞いてくる。
私達は顔をまた見合わせた。
どうするのだろう。
「カフェとか行かない?近所に良いお店を見つけてね。猫カフェ」
「...そうなんだ。行ってみようか」
「そうだな」
春樹くんも笑みを浮かべる。
お姉ちゃんの顔を見る。
顔色としては何かで吹っ飛ばしたい感じをむんむんと出していた。
私はその姿を見ながら春樹くんと手を繋いだ。
「まさにベストカップルだねぇ」
「...えへへそう思う?」
「うん。懐かしいな。私も...生き別れた好きだった男の子が居た。それもまあ別れだけどね」
お姉ちゃんは自嘲しながら「愛しかったんだけどな」と言いながら目線をずらす。
「どうして別れてしまったのか」と真剣な顔のお姉ちゃんに言いたかったが。
流石に状況的にそれを聞く勇気がなかった。
何故かといえばお姉ちゃんの人生は束縛の人生だ。
だから聞けなかった。
そして私達は移動をする。
それから木製カフェの(ひだまり)という店に来た。
まさにそのまま猫カフェだった。
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