第44話 自立への道

☆佐藤愛花(さとうあいか)サイド☆


私は私自身の答えを、生きる意味を、自立する心を見つける。

そう...私は決意した。

それから私は玄関を開けてから部屋に入る。

そこではテレビを観ているお姉ちゃんが居た。

テレビを消してから私を見てくる。


「やあやあ。イチャイチャは終わり?」

「もう。お姉ちゃん。揶揄わないで」

「アハハ。ゴメンゴメン。...でもね」


そう言いながらお姉ちゃんはいきなり私を押し倒した。

それから頭をガシガシと撫でてふざけてくる。

「私の妹が戻って来てくれて最高に嬉しいよ」と言いながらだ。

私は突然の事で目をパチクリしか出来なかった。


「お風呂入っておいで」

「...ねえ。お姉ちゃん」

「...うんうん。何かな」

「私は...この場所が好き」

「それは私も同じだね。私も...この場所が好きだよ」


お姉ちゃんは伸びをしながらお茶を飲む。

それから私に微笑む。

私はその姿に胸に手を添える。

「じゃあ入って来るね」と笑顔になる。

お姉ちゃんは「おう」と返事をした。


「ゆっくり入っておいで」

「...有難う。お姉ちゃん」


そして私はお風呂に入ってから...上がってお姉ちゃんにお風呂を譲る。

何だか心が温かい。

いつもなら熱くはならないのだが熱い。

とても熱い感じがした。



「お姉ちゃんはあの親の事は...良いの?」

「私が関わるとろくなことが無いから。丁度良かった。絶縁されて」

「...そっか」


パスタにデミグラスソースをかけた適当なものを食べる私達。

明日からはまともなものを作りたい。

今日は時間が無かったから。

そう考えながら私はパスタを食べる。

するとお姉ちゃんが「私は...きつかった」と言葉を発した。


「...仕事ばっかりだし...シノンにも裏切られたし」

「...」

「だから私はこの人生は悔いはない。もう...ね」

「寿命が終わる老人みたいなこと言わないで」

「...いや。本当にね」


「後は君達が婚約すればそれでもう万事オッケーかな」とお姉ちゃんは話す。

それから苦笑した。

そんな姿に私は赤面する。

そうしてから「もー」と言う。


「...お姉ちゃん。結婚する時は横に居てね」

「...そりゃうん。あはは。だったらヴァージンロードを見るまで死ねないね」

「当たり前でしょ。死なないでよ?絶対に。約束」

「...うん。可愛い妹の為なら」


話しながらお姉ちゃんは笑顔になる。

私はその姿を見ながらクスクスと笑いながら野菜を食べた。

それから柔和になった。

そして「でも...運命的だよね。隣人を好きになるって」とお姉ちゃんは話す。


「...運命的だった」

「...私も彼氏は居たけどそんな1回で合格って感じにはならなかった」

「...」

「運命は大切にしないとね。彼を逃さない様にしないとね」

「...うん。当たり前でしょ。私は絶対に春樹を逃さない」

「その意気だね。今頃くしゃみでもしていそうだけど」


お姉ちゃんはそう言いながら苦笑いでパスタを食べる。

私はそんな姿に食事を再開した。

それから全部食べて皿を洗い始める。

するとお姉ちゃんも手伝いに来た。


「...どんなところが好き?春樹くんの」

「春樹は優しい。私にとって。そして...とても身近に感じる」

「...ほほーう。良いですなぁ」

「もう。お姉ちゃんは揶揄う事しか頭に無いの?」

「無いですなぁ」

「...んもー」


私は口をへの字にした。

だけどこの時間が最も楽しいな。

そう思いながら私はお皿を洗い始める。

するとお姉ちゃんが「私は...どんな人を好きになるかな」と言ってくる。

私はその言葉に「お姉ちゃんはお姉ちゃんに合わせる人が良いと思う」と答えた。


「...お姉ちゃんを心から大切にしてくれる人がね」

「少なくとも私達のお父さんみたいにならない人だね」

「そうだね。それが一番だと思う」

「うーん」


そんな感じで私達は将来を語り合った。

それから私は皿を洗い終えてから「お姉ちゃん。春樹の部屋に行ってくる」と告げてからお姉ちゃんを見る。

お姉ちゃんはニヤッとしていた。

「イチャイチャ?今日は帰らない?」と言いながらだ。


「もう。それじゃあ私が悪い女みたいじゃない」

「そうだね。まあ冗談は置いて。...行って来な。今日は色々あったしね」

「そう。その感謝もあってね」

「...そう。じゃあ行ってらっしゃい」


私は「行って来ます」と返事をしてからそのまま表に出る。

それから横の部屋のインターフォンを鳴らす。

すると直ぐに春樹が「はい」と言ってきた。

私はその言葉に「春樹。私だよ」と言う。

するとドアが開いた。


「ああ。...どうしたんだ?」

「...お礼。今日のね。...これ」

「...お菓子?」

「ゴメンね。こういうのしか無くて」

「...ううん。構わないよ。嬉しい」


それから私は春樹を見る。

春樹は私を見る。

さっきのキスの件があって何だかモジモジしてしまう。

だが春樹は「入ってくか」と意を決してから言ってきた。

私はその言葉に「う、うん」と返事をする。


何だか...その。

恥ずかしい。

だけど...エッチな事は禁止だ。

な、何も起こらないと思うが...。

いつも春樹の家に入っているのにドキドキが止まらない。

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