佐藤一族の終焉

第52話 母親、佐藤ちとせの本性

☆佐藤愛花(さとうあいか)サイド☆


父親が倒れた。

そうしたら周りの人達がこう言ってくれた。

「ここは大丈夫。だからまあ病院に2人で行って来い」と。

特に坂本くんが大きく出てくれた。


正直...その言葉がとても身に染みて暖かった。

教員も配慮してくれた。

それから私達は仕事もそこそこに切り上げて病院にやって来る。

この街にある救急病院に。

ところが。


「今は危ない状況なのでお会いすることは出来ません」


と言われてしまった。

私は何の為の早退なのか...と思ってしまう。

それから私達は病院の中で隣り合って座って居ると春樹が「大丈夫か」と言ってから缶コーヒーを買って来てくれた。

私は甘いもの好きになったので...甘い缶コーヒーだった。

その配慮が嬉しかった。


「まあ親父さんの件は仕方が無いな。倒れたばかりだしな」

「...まあそうだね」


そうしていると「あら?」と声がした。

顔を上げると...そこに見知った顔の女が居た。

その女は私の母親だった。

母親の...佐藤ちとせ(さとうちとせ)である。

私は無視して目の前を見る。


「あら。聞こえないのかしら。愛花」

「...何の用ですか」

「いやいや。何だかお父さんが倒れたって言うじゃない」

「今の今まで外国で遊んでましたよね。何の用事ですかって聞いています」

「まあ...お金を貰いに来たのよ」


私はまさかの言葉に「まあ私に対する慰謝料ね」と言う母親を見る。

信じられない。

まさかこの女...私の父親が倒れたから切り捨てる気か。

そう思いながらあっけに取られていると「オイ」と声がした。

その声は春樹だった。


「なあ。アンタ。もしかして切り捨てようとしてないか」

「...切り捨て?何の事かしら」

「自らの愛する人を切り捨てようとしてないか」

「お金が欲しいのよ。私は」

「...見損なったよ。ちとせさん」

「お母さんね。それは間違わないで」


母親?殺したい気分だけど。

そう思いながら私は母親を睨む。

信じられないぐらいの屑だ。

まさかこんな事を計画していたとは。


「事業とかは畳むわ。何故なら私が仕事をするのが面倒臭いでしょ?それに莫大なお金が入ってくるしね」

「...」

「アンタそれでも愛花の母親か?最低すぎやしないか」

「私は愛娘の母親よ」


嘘っぱちを!!!!!

私は激高して立ち上がる。

それから「帰れ!!!!!」と怒号をあげる。

患者たちが皆見てくるが構わない。


「...私を何だと思っているのかしら?貴方。仮にも私は貴方の母親よ」

「愛情も受けた事はない。アンタは...害悪だ」

「...貴方を愛していたわ」

「嘘ばかり吐くな。アンタは私の父親をこき使って逃げた。外国のセブ島にでも。...そんな女は要らない」

「良いわ。勝負しましょうか?」


そんな言葉を言う害悪の母親。

私は怒りが満ち満ちてくる。

こんな女に...!!!!!という感じでだ。

すると背後から更に声がした。


「お母さん」

「...あら。彼方じゃない」

「...もう帰って。いさかいに巻き込まれたくなければ」

「そうね。今は帰るのが妥当ね。今まで何も知らなかったから帰ったら事業を畳む手続きをしなくちゃ」

「...」


能天気な母親。

私は怒りだった。

こうなったら弁護士でも雇って対決するしか無いのか。

そう思いながら居ると母親は帰った。

それから丁度、呼び出しがあった。


そして私達は病室に向かう。

するとそこに弱り切った感じのチューブとかに繋がれている父親が居た。

意識もあまりはっきりして無い様に見える。

私は「...」と思いながら居ると。

横に居た看護師さんが「すいません。ご家族の方ですよね」と言いながら何かを手渡して来る。


それは遺言状と書かれている。

私達は驚きながら中身を開いてみる。

そこにはこんな感じの記載がある。


(100億円の全ての資産及び資産の土地建物全てを娘の佐藤愛花に渡す事とする)


という感じでだ。

私は愕然としながら「待って。どういう事」と父親に聞くが。

全く返答はない。

何を考えているの...父親は。


「...マジか」

「愛花...に渡すの?...何がどうなっているの」


そんな感じで私達は見合う。

そしてそこには手続きの書類、弁護士手続きなどなどが載っていた。

まさかと思うが自らの母親を計算していた?

だから私に手渡すのか?

おかしくないか?それは。


「遺言状は効果がある。...取っておくべきだな」

「裁判沙汰になったらね。...確かに」

「書類も取っておかないと」


そういう感じで会話をしていると電話が掛かってきた。

その電話の主は...母親だった。

私は「?」を浮かべて電話に出る。

すると怒号が聞こえた。


『貴方達何を考えているの!!!!!』


という感じでだ。

私は「?」をまた浮かべながら顔を見合わせて反応する。

母親は怒号を続けた。

この様に、だ。


『来てみれば会社が無いじゃない!!!!!そしてお金も物品も通帳も何も!!!!!もぬけの殻よ!!!!!』


という感じでだ。

まさかと思いながら私は「私達は何も知らない」と答えるが。

話を聞かない感じのとち狂った母親は「その男が私が居ない間にやったのね!!!!!会社の手続きとか!!!!!」とキレた。

私は「...」と思いながら父親を見る。


「...何を考えているんだろうな」

「分からないけど...お姉ちゃん。どう思う?」

「...これから法で勝負しないといけないかもだけど私達の勝ちだよ。きっと。何を考えているか全く分からないけど」


そんな会話をしながら私達は3人で父親を見る。

何を考えているのだろう本当に。

全く分からない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る