第15話 居なくなった佐藤愛花
☆横田春樹(よこたはるき)サイド☆
彼女は...というか。
愛花は俺が好きだと言った。
そして彼女は花咲く様な笑顔を俺に向けた。
応えられなかった。
だけど俺はいつか返事をすると言った。
愛花は「今はそれで構わない」と言ってくれた。
何か...愛花からあまり良くない感じがしたのだが気のせいか?
俺は思いながら翌日になってから起き上がる。
それからドアを開けてまたいつもの時間に出る。
しかし...?
「?」
何か愛花の家から愛花の気配がしない。
俺は「?」と思いながらインターフォンを押す。
だが...3分待ったが愛花は出て来ない。
いつもだったらすぐ反応すると思うのだが。
何だこの違和感は。
俺は思いながら愛花の家のドアノブを握る。
それから引っ張ってみるとドアが開いた。
俺は「???」と思いながらドアを開け放つ。
そしてそこに違和感を感じた。
「...え?」
何故か愛花が居ない。
普通ドアを開け放ち人が消えるか?
俺は「登校したのか」と呟きながら見ると廊下の直ぐに手紙が置いてあった。
それも俺宛。
書き殴った様なタイトルの白い便箋。
謎が謎を呼ぶ。
「...?」
俺は便箋を開けてみる。
そこには(春樹くんへ)と書かれている。
それから(この手紙を読んでいる頃には私は居ないと思います。その理由として親が...私と貴方との関係を知って怒って連れ帰ろうとしている様です。なので最後にこの便箋を書き残します。私の告白を考えてくれて有難う。貴方はとても良い人です。良い人が見つかると思います。有難う今まで)と書き記され...は?
俺はぐらっとした。
「...は?」
俺はそう呟きながら俺は壁に手をつく。
待ってくれ。
え?じゃあまさかその実家に...帰ったのか?アイツは。
俺は額に手を添えて便箋の封筒を落とす。
「ま、まさかそれで...」
そう考えながら俺は蹲る。
全てを残して去って行ったって事か?
そんな馬鹿な事が。
思いながら俺は立ち上がる。
それからドアを開けて飛び出す。
「どこ行ったんだ!」
と怒りながらエレベーターで下に降りると...そこに須崎が居た。
俺を見ながらニヤッとする。
何だコイツは。
思いながら須崎を見る。
須崎は「もしかして居なくなった?あの子」と聞いてくる。
「は?」
「...いやね。実は私の親戚とお見合いするの。...愛花さんね」
「...お前...まさか何か仕組んだのか?」
「私は何もしてない。ただ成り行き上そうなった」
「愛花は17歳だ...そんなことは出来ない」
「だけど来年18歳だよね」
静かな怒りが湧いた。
それから須崎を見据えてみる。
須崎は「いや。というか私を恨んでも良いけど私じゃないよ原因は。根本から何もしてない」と言葉を発しながら俺を見てくる。
それから手をひらひらする。
「でもまあスッキリしたかなこれで。貴方達に何か出来たし」
「...俺はお前を心底見損なった。仮にも俺達はやり直せると思った。だがもう無理だ。お前は...いや。お前の親も大概だな」
「...まあ私の親も何もしてないけど。...全て親戚が決めた事だし」
「...」
「何か恨みがあっても原因は私じゃない」
静かな怒りを纏ったまま。
俺は拳を握り締める。
それから走った。
須崎を置いてから俺は手掛かりを求めてだ。
そして俺は先ずはと高校に来た。
アイツ。
愛花が何かを残しているのならここだ。
思いながら俺は走る。
下駄箱で靴を高速で脱ぎ変えた。
それから駆け出して教室に来ると坂本と鉢合わせた。
「おう。おはおは。...ん?お前鞄は?」
「...坂本。この場所にアイツは。...愛花は来たか」
「...ん?愛花?...ああ。佐藤なら来てないぞ?珍しいよな」
「...そうか」
そう言いながら俺は愛花の席に行く。
それから愛花の机を漁る。
申し訳無かったが今はもう時間がない。
そう思いながら漁る。
坂本がやって来た。
「何してるんだ?ストーカーか?」
「違う。...愛花...もうアイツは学校に来ないかもしれないからちょっとな」
その言葉に坂本の表情が切り替わった。
それから「オイ待て。どういう事だ」と厳しい顔で怒りながら聞いてくる。
声が大きい。
クラス中が注目をしてきたじゃないか。
思いながら居ると今度は伊藤さんがやって来た。
「待って待って。どしたの?坂本くん。横田くん」
「...何でもな...」
「佐藤愛花が学校に来なくなるかもしれないって話」
俺の言葉を遮りながら坂本がそう言った。
それからクラス中が固まった。
それから「待て。どういう事だ」的な感じになる。
何をしているんだ坂本。
考えながら俺は坂本を睨む。
「お前な。言うとか馬鹿野郎か?」
「お前が馬鹿野郎だな。...そんで佐藤の居場所を探しているんだな?」
「...違う」
「...違わないな。...住所を知りたいなら名簿を見れば良いんじゃないか」
「...だから違うと」
坂本が俺の胸倉を掴んだ。
それから思いっきり激高する。
「違わないから言ってんだよ俺は!!!!!」と声を荒げる。
俺は「!」となりながら坂本の手が離れるのを見る。
そして坂本はグッと拳を握ってから「オイ。みんな。クラスメイトが居なくなったから探すぞ」と言い出した。
伊藤さんが慌てる。
「待って!全員でそんな事をしたら大変な事になるよ!?」
「伊藤。だけど俺は探したい」
「...でももう予鈴が鳴ってしまう」
「クラスメイトを失うよりかは授業サボる方がマシだ」
そう言いながら男子を見る坂本。
そして女子を見る。
坂本は親指を後ろに向けたてから合図する。
みんなやる気に満ちていた。
俺はその姿を唖然として見る。
「まだ佐藤愛花は近くに居るかもしれねぇな」
「それは確かにね」
「...うん。俺も探すぜ」
「まあこれ反省文かもな。...停学にはならないだろうけど。全くな」
俺は愕然としながら次々に教室を出て行くクラスメイト達を見る。
そして最後に坂本が俺を見てきた。
それから笑みを浮かべる。
そうしてから坂本は俺の肩を叩いた。
「諦めな。...このクラスはガチで諦めが悪いしな」
「...」
「...大丈夫。40人も居るんだぞこのクラスにはな。探せば必ず見つかるさ」
「しかし居なくなったのが昨晩からだったらもう手の打ちようが無いぞ。本当にお前ら...」
「まあまあ。恐らく警察に訴えても駄目だろうしな。自力で探すぞ」
「教員には何て説明するんだ」
「クラス一同、腸チフスになったって事で早退」
コイツな...呆れた。
思いながら坂本も出て行く。
それからそれを追う様に俺も表に出る。
教師達に見つからない様に高校から出た。
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