第二章 変動

私は私らしく

第21話 須崎シノンという人間

佐藤愛花が佐藤彼方。

自らの姉と一緒に暮らす事になった。

俺はその成り立っていった感じに安堵しながら横の自宅に帰って来た。

夕食をごちそうになった。


それから俺は唇を撫でる。

そして心臓の。

胸に手を添えてみる。

ヤバすぎる。

キスってこんなにヤバいものだったのか。


「...」


ますます愛花が好きになった。

俺は恐らくもう愛花しか見れない。

そんな有様だった。

それから俺は暫く身動きが取れないまま何とか立ち上がる。

そしてよろよろとお茶を飲む。


そうしていると...スマホが光った。

俺は「?」を浮かべながら画面を見てみるとそこにはSNSのアカウントの宣伝の通知があった。

トピックは...浮気のどうのこうのの通知だった。

何でこんなものが?


「...余計なこったな」


そして俺はその通知を切った。

それから俺は作業をしているとインターフォンが鳴った。

俺は「愛花か?」と思いながらドアの窓を覗く。

そこに...何故か須崎。

アイツが居た。


「...何だお前は。何をしに来た」

『...ねえ。...何で私だけこんな目に遭うの』

「...?...あ?」

『貴方達は仮にも幸せそうなのに。私は...彼氏に捨てられて』

「...ああ。捨てられたのかお前。...で?」


あんだけ愛し合っていたのに?

俺は思いながら須崎の言葉を聞く。

何をしに来たんだコイツは。

そう思いながら。


『性病まで移されたんだけど』

「そうか。で?まさかと思うが治療費を寄こせとか言うんじゃないよな?」

『そういうんじゃないけど。ただ...よりを戻したい』

「...すまないがお前と関係を戻す気は無い。お前は何を言っているんだ」

『私は誰かのそばじゃないと生きられない』

「...冗談抜きで地に落ちてるぞお前」


いきなり何を言い出すかと思えば。

結局は使い捨てだったか。

思いながら俺は須崎に告げる。


「お前はもう救いようがない。性格が死んでいる」と。

すると須崎は『...SNSに投稿するよ?色々な事。私と付き合わないと』という。

ここまでいくと脅しだな。


「警察呼ぶぞお前。覚悟はできたか」

『...っ』

「警察の世話になりたく無かったら消えろ。失せろ」

『アンタ鬼ね』

「鬼とかじゃない。お前のやっている行動が鬼だ」


そう言いながら俺は須崎を睨む。

すると須崎はそれを察した様に睨み返し。

そのままその場を去って行った。

コイツは何がしたいんだ。

そう思いながら。



須崎の件。

これは実は伊藤が交通事故に遭いそれがきっかけで色々バレてヤバい事がSNSで拡散されたらしい。

それも相手の伊藤に切り捨てられる為の口実にされた様だ。

結局浮気の先はこんなものか。


「やれやれ」


そんな事を呟きながら俺はドアを開ける。

すると目の前に愛しい彼女が居た。

佐藤愛花が俺に微笑んでいる。


「春樹くん」

「...ああ。どうした。愛花」

「お弁当作ったからまた食べて」

「あ。サンキュー...」

「...」

「...」


正直昨日のキス以来である。

こうしてまた会うのは。

だからこっぱずかしいとしか言いようがない。

思いながら頬を掻く。

すると愛花はニコッとして俺を見た。


「春樹くん。覚えてる?デート」

「...ああ。恋人の丘がどうのこうのってやつだな」

「そう。...その...場所に明日行かない?」

「...明日...ああ。休みか」

「そう。休日...どうかな?」

「分かった。じゃあ行こうか...あれ?そういえばお姉さんは?」


俺がそう告げると愛花は「お姉ちゃんは仕事に行ったよ。朝早くから」とちょっと寂しい様な顔をする。

その顔を見ながら俺は愛花の頭を撫でる。

それから「じゃあ行こうか」と告げた。


「...そうだね。春樹くん」

「...ああ」

「...」

「...」


やっぱり言葉が続かない。

あまりにも恥ずかしい。

しかも何だか...いや。

とにかく恥ずかしいのだ。

心臓がバクバクと波打つ様な。


「...春樹くん。手を繋ごう」

「ああ。じゃあ繋ぐか」


それから俺達は手を繋ぐ。

すると愛花は鞄から何かを取り出した。

それはマフラーだ。

俺は「?」を浮かべながら見ていると愛花はマフラーを俺に巻いた。


「...お揃い」

「...ま、まさか。作ったのかこれ」

「...もう直ぐ4月だし似合わないけど」

「...」

「...ど、どうかな」


感涙だわ。

そう思いながら居ると愛花は「膝を曲げて」と言い出した。

俺は言われた通りに首を傾げながらも膝を曲げる。

そしてマフラーをくるくる巻いてくれた。


「...どう、かな」

「...有難うな。愛花。とっても暖かいよ。まるでお前の心が俺の胸に入って来るかの様だな」

「うん。有難う。...春樹くん」


そう言いつつ歩く。

その際にアイツの...というか。

須崎の高校の生徒の制服が見えた。

俺は考えた。

すると横の手を繋いでいる愛花が聞いてきた。


「どうしたの?」

「...何でもないよ。すまない」


俺はその制服の女子達を見つつ。

学校に登校する為に信号を渡った。

それから学校に登校する。


で。

後から聞いたが須崎は不登校になったそうだ。

まあ自業自得かなと思うけど。

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