第48話 伊藤信孝への裁き(上)

クラスメイトの必死の準備のお陰で何とか全ての駒が揃った。

それから飾りつけをした教室内を見て俺達はハイタッチし合った。

そして18時。

俺と斗真と愛花が帰宅している...と目の前から4人組の男達が現れた。

その不良の集団の1人が見知った顔だった。


「...よお。...春樹」

「...お前本当に懲りないな。伊藤」

「やられた分はやり返す。それは当たり前だろ?お前のせいで人生破滅したんだから」

「お前はアホか?お前自身のせいで人生が破滅したんだろ」

「...まあでもそれは今となっては過ぎた話だしな。今日はお前というアホに紹介したい奴らが居てな」

「...は?」


俺達は怯む。

すると伊藤は「コイツな。...俺の通っている高校の後輩達でな。...お前をぶっ殺す為に呼んだわ。...お前を見せしめに全校生徒の前で吊るし上げにしてやるよ。お前のが幸せになる事は絶対見許さない」と執念で見てくる狂ったボケナス。

俺は「お前。もしかして共同の文化祭を知っているのか。今回の」と伊藤に聞いてみると伊藤は「そりゃそうだ。こんなおいしいものを狙い撃ちにしないでおく訳にはいかないだろ」と言う。


「...よく分からないね。君」


そう斗真が言った。

それから「伊藤信孝君。執念は褒めるに値するよ。でも...しつこいね。そろそろ病院にでも行ったらどうかな」と斗真は肩を竦める。

すると伊藤は「あ?」と言いながら「お前誰だ」と言う。

斗真は「アンタが居た柔道部部長の弟」と言う。


「まあ最早アンタには関係無いと思うけど」

「...そうか。妬ましいと思ったらそういう事か」

「そうだな。でも今となっては関係無いだろ?」

「...そうだな。お前も吊るし上げにしてやるよ。覚悟しな。...文化祭をぶっ壊してやるよ」

「...アンタは浅いねぇ。...その程度で学校が波打つと?」


斗真は挑発する。

どうも計画があるらしいがこれ以上は危ないんじゃ?

そう考えながら「斗真。もう止めようぜ」と言う。

斗真は「まあそうだな」と言いながら言葉を発するのを止める。


「俺は警告したから。アンタ達が吊るし上げになるから」

「...はぁ?生意気言ってんじゃねぇ。そんな訳あるか」

「...馬鹿だな。お前。春樹達の恐怖を分かってない」

「...?」


俺は斗真を見る。

そして斗真は「本当に怖いのは怪物じゃない。...こういう自然に怒る連中だよ。伊藤信孝。お前はもう追い詰められている」と言う。

それからニコッとしながら伊藤を見る。

伊藤は「...」となりながら斗真を見ていた。


「...それを分からない君は滅茶苦茶なアホだ」

「人間の怒りが怖いって?お前馬鹿じゃねぇのか?そんなもん脅しにもならねぇよ」

「...」

「警察だろうが何だろうが。怖くねぇし」

「そうか。それなら勝手にすると良い」


そして俺達はその場から後にした。

特に伊藤は本当に俺達の学校で裁きを下すつもり追いかけて来なかった。

これで良いのか本当に。

そう考えながら「...斗真。良いのか。あんだけ言って」と言う。

すると斗真は「なあ。春樹。この世で一番怖いものって何だと思う」と聞いてくる。


「...それって...何?」

「...愛花ちゃん。一番怖いのはね。...人間の記憶に残る事だよ」

「...!」

「アイツらは確かに襲ってくるが。その前に俺は布石を置いた。...さっきの件は全て録音機で録音した。ペンで動かすのが趣味でね」

「...じゃあお前...」

「全校集会で流す。流石に800も居る生徒の前。そして教師達の前で暴露する」


「これこそ最高のバッドエンドだよ」と言いながらニヤッとする斗真。

コイツも大概だよなマジに。

思いながら俺は「ああいう頭の悪い奴に通用するかな」と言う。

斗真は「効かないかもしれんね。...でも安心しな。...これで終わりにはさせない。俺は昔は天才って呼ばれていたんだぜ。これでも」と薄ら笑いを浮かべる。


「...どうする気だ」

「そりゃSNSじゃなくて動画サイトで一般公開する。SNSにもこの事をくっ付けようか。やはり。...伊藤信孝は全国優勝した実績を持っているらしいじゃない。それをメインで動画作成したいな」

「...やり過ぎじゃない?」

「愛花ちゃん。そんな事を言っていたら意味無いよ。すっぽんぽんの丸裸にしないとこっちが豚で殺される。俺達が狼に」

「...そうだな」


俺は納得しながら「動画編集は任せろ。俺は得意だ」と笑顔になる斗真を見る。

その姿に冷や汗が出た。

すると斗真は「でもどうせなら中継したいな。中継して伊藤を追い詰めよう」と話しながら歪んだ笑みを浮かべる。


「ちゅ、中継だ?」

「そうだ。地元ネットで...体育館に設置しよう。学校側に申請してな」

「宣戦布告されたしね」

「...そう。つまりアイツらが来るタイミングで動画を公開。そして絶望に叩き落とそう。...生中継と動画。効果あるぞ」

「だがお前。もしバレたら?教師達に」

「バレない。俺はそこそこ教師にもパイプがあってな。あくまで俺は学校側の優秀な所をアピールしたいって事で。それに乱入騒ぎを気付いてなかったって事にするんだよ。一切バレる事は無い」


「俺はしつこい奴は嫌いなんでね」と言いながら斗真は録音機。

ペン型の録音機を出した。

それから嘲笑う。

「警察とかはな。事件が起こらないと動かない国家組織だ。だから俺達で裁くぞ」と斗真は柔和になる。

恐ろしいんだが?


「...斗真。マジに大丈夫か?」

「そんな事言っている場合か。...まあ大丈夫だよ。...愛花ちゃんとお前の身が心配だしな。楽しみだわ。地に落とすのがな」

「...いや。楽しむなよ」

「俺は決して許さん」


そして斗真はペンを持ったまま「じゃあ俺こっちだから」と帰った。

それから俺と愛花は「...」と考えながら見送り。

そのまま「やる気満々だね」「そうだな」と会話をしながら帰る。

しかし本当に大丈夫なのかこれ。

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