第3話 大人買いの始まりは仮面ライダースナック

 泰三(名前間違えてるし)が言った。


「多分、大人買いの始まりは俺たちの世代だろうな」


「ピー(興味ないからタテ笛を吹いた)」


「(特に気にせず)昔、仮面ライダースナックってお菓子があって、それに仮面ライダーカードがついてた。


仮面ライダー1号2号や、敵のショッカーの怪人の写真が載ってて、裏に当たりと書かれていたらなんと!」


「ピープー(また縦笛を吹いた)」


「(まったく動じず)仮面ライダーカードを入れるアルバムがもらえたんだよ! 


それを持ってる奴はみんなから心底うらやましがられた。変身ライダーベルトを持ってる奴くらいうらやましがられたんだ。


それで一大ブームになって、そのカード欲しさに仮面ライダースナックを箱買いする奴が続出した。


でも仮面ライダースナック自体はカッパえびせんに砂糖をまぶしたような甘い菓子だった。たしか桜の花びらのような形をしてたな」


「(もう無視も出来ないので)なにそれ、微妙なんだけど」


「子供にとっても微妙な味だったから、カードだけもらって、菓子の方は捨ててしまうという悪い子供がたくさんいて、社会問題になった。


だってお菓子の入った段ボール箱ごとドブ川に流して捨てるんだからひどいよな。そんなニュース映像を見た記憶がある」


「たしかにひどいね。今テレビでも食べ物を粗末に出来ないのに。後でスタッフが美味しくいただきましたって、テロップ入れてるし」


「本当に美味しくいただいてるのか疑問だけどな。まあそうだな、本当に食べ物を粗末にしてたよな。だから、ビックリマンチョコや食玩なんかのおまけだけ欲しくて箱買いして、


お菓子の方を捨てる子供がいても、俺たちの世代は叱れないよな。俺たちがその流れを作ったんだから」


「なに? 反省してるの?」


「まあな」


 泰造はその晩、晩酌をやめた。


 贖罪の為だ。


 その世代の罪をすべて、自ら背負ってww

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