第50話 探偵物語2

トイレから戻って来た泰造が、


「で、探偵物語の続きだ」と言った。


「ホントにするんだ」


「まだまだ言いたりないからな。


で、探偵物語は脇役も個性的で、


情報屋のイイヅカは必ずお勧めの映画の話をして、


自分が観てない映画の話を工藤にされると激しく落ち込むんだ。


あと榎木兵衛が演じた山崎も良かったな。


工藤に『私はなーんにも知らないの』と言いながらも、事件の情報を横流ししてたな。


そしてこのドラマ最高のキャラのイレズミ者だ!」


「イレズミ者? 反社なの?」


「チンピラだな。イレズミ者は初代と二代目がいて、


初代は背中にイレズミ者と書いてあるだけで、


二代目は背中にイレズミの描かれたTシャツを着てるだけなんだ」


「へー」


「それで工藤のことを先生と呼び、お役に立とうと頑張るのだが、ドジなことばかりしてしまって、工藤に頭をはたかれるんだ」


「バカだ」


「探偵物語は全編ギャグがあふれてて、軽いノリが良かったんだよな。


未だに覚えてるのは、工藤の『笑うな、笑うな、笑うと歯が臭い!』ってセリフと、


ナンシーたちに逃亡用の縄ばしごを頼んだら、割りばしとショボいひもで出来た代物で、


高いビルから降りようとしてるのに、これじゃあって感じで、


共演の内田良平に『これで降りてやってくれよ』と頼むシーンが笑ったな。


まだまだ他にも面白いシーンがあるからまた見直したいな」


「少し見てみたいかも」


「俺はDVD BOX持ってるから観たかったらいつでも言ってな」


「でも韓流ドラマ観るからいいや」


「ズコッ!」

泰造が昭和風にコケた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る