第46話 笑点
青木は結局、日曜日の夕方までウダウダと家に居た。泰造もなんだか楽しそうだった。
そして夕方の5時半になるとテレビをつけて、
「やはり日曜の夕方は笑点を見ないとな」と言った。
「まあ日曜日って感じするよね」
「俺が子供の頃に見てた頃は、司会は三波伸介だったな」
「誰ですか?」青木が言った。
「三波伸介は昔、伊東四朗と戸塚睦夫の三人でてんぷくトリオというのをやってた。
一人で活動するようになってからは減点パパや凸凹大学校の司会、それに、てんつくてんってドラマも出てたな。
で、その頃の大喜利のメンバーは、桂歌丸、林家木久蔵、三遊亭圓窓
先代の三遊亭圓楽、林家こん平、三遊亭小圓遊の6人で、先代の圓楽さんは自分のことを星の王子様とかわけのわからない自己紹介してたな。
座布団運びは『手を上げて横断歩道を渡りましょう。松崎真でございます』の松崎真だった」
「山田くんじゃないんだ」
「山田くんはその次の座布団運びじゃなかったかな。
山田くんは笑点でやってたちびっこ大喜利出身で、
ずうとるびって四人組グループを作ったらアイドル並の人気が出て、
みかん色の恋って曲で紅白歌合戦にも出たんだ」
「へー」
「で、当時の売りは歌丸さんと小圓遊さんの対立だな。なんだかんだと、相手を罵り合うんだけど、
小圓遊さんは番組のレギュラーだった時に急死してしまうんだ。
その葬儀で歌丸さんが号泣したそうだ。本当は下積みの頃から仲が良かったらしい」
「歌丸さんも亡くなったし、なんか、切ないですね」
「そうだな。で、笑点のテーマ曲には本当は歌詞があるのを知ってるか?」
「そんなの知ってるわけないじゃん」
「歌詞は、あのメロディに乗って、ゲラゲラ笑って見るテレビ、で始まり、
それはご存じそれはご存じ 笑点だ~よ、パフっ!で終るんだ」
「そうなんですかー」
「青木も笑点見たら帰らなきゃね。途中まで送ってくから」私が言うと、
泰造が少しだけ寂しそうな顔をした。
青木ももうすっかり家族の一員だ。
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