第47話 昭和しりとり

 青木を駅まで送って家に帰ると、居間にぽつんと泰造がいた。なんだか青木という家族がよそに帰ったみたいで、寂しそうだった。


 そんな泰造が唐突に言った。


「みさき、しりとりをしよう。お前からだ」

 泰造はいつでも唐突だ。

 でも寂しそうだったから付き合った。


「じゃあカフェラテの、て」


「テリーファンク、ブッチャーにフォークで血だるまにされてたな。先日、亡くなったが」


「く? クッキーの、き」


「キンキンケロンパ、愛川欽也とうつみ宮土里の愛称だな。二人でラジオのDJしてた」


「パ? パンナコッタの、た」


「丹波哲郎、Gメン75だな」


「う? 宇多田ヒカルの、る」


「ルイルイ! 太川陽介の曲だ。太川陽介は水谷豊のドラマの熱中時代に出てたな。もう終わったけど蛭子さんとバスの旅もしてたしな」


「い? イメージトレーニングの、ぐ 」


「グリコ、おまけを集めてたな」


「こ? 高円寺の、じ」


「痔にはヒサヤ大黒堂」


「う? 海ほたるの、る」


「ルミ子 小柳」


「それずるくない?」


「すまん、じゃあ、ルンルンを買っておうちに帰ろう。林真理子のデビュー作だな」


「う? ウコンの力の、ら」


「ラッキー池田、振り付け 師で変な帽子かぶってた」


「だ? 壇蜜の、つ」


「通信教育の空手」


「泰造、昭和なことしか言わないし!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る