第32話 リンリンランラン留園

 会社から帰って、泰造が作ったカレイの煮付けと、ほうれん草のお浸しと卯の花をつまみにリビングで缶ビールを飲んでいた。泰造はハイボールを作って飲んでいる。テレビはバラエティ番組が映っていて、滝沢カレンが出ていた。


「滝沢カレンってすごいな」と泰造が言った。


「そっかな」


「うん。最初はローラの二番煎じかと思ったけど、しゃべりは面白わ、4文字熟語であだ名を付けるわ、カレンダーや料理本まで出すわで、色々なことやって今でも売れてるもんな。あの言語感覚はすごいと思うぞ。王林もそうだけど。


で、滝沢カレンはミックス•ルーツだけど、日本にも昔からいろんな外国人タレントがいたけど、一番印象に残ってるのがリンリンランランだな」


「誰?」


「リンリンランランは香港出身の双子のアイドルで、『恋のインディアン人形』がデビュー曲だったな。


でも一番印象に残ってるのが留園って中華料理店のCMで、


『リンリンランラン留園、リンリンランラン留園、留園行って幸せ食べよ!』って歌ってたんだ。


あとは『恋のパッコンNo.1』って曲があって、なんか戦隊物みたいなイントロで、


歌いだしが『パッコンパッコン~』で意表を突かれたな。


内容は、恋すると胸がパッコンパッコンって高鳴るっていう歌詞なんだが、みさきは青木に恋して胸がパッコンパッコンって高鳴ったか?」


「パッコンパッコンは高鳴らなかったな、つか高鳴らないし」


「そうなのか。パッコンパッコンはなかったのか。青木かわいそうだな。でもズッコンバッコンはしたんだろ?」


「おやじマジ殺す」

「いや、小泉今日子の渚のはいから人魚って、曲があって、♫キュートなヒップにズッキンドッキン♫って歌詞があって、俺らは替え歌で♫キュートなヒップにズッコンバッコン♫って歌ってたんだよ」

「バカな学生だな」

「確かにな。まあ、それで、あとは世界初のインド人演歌歌手のチャダっていうのがいたな。


ダーバン巻いたインド人が『面影の女』ってド演歌を熱唱するんだよ。すげえと思ったな。曲もヒットしたし。


他にはマギーミネンコって『金曜10時! うわさのチャンネル』に出ていた子がいて、唐突に『チチモメー』って言うのがウケてたな。


美形ではアグネスラムとカメリヤダイヤモンドのCMに出てた『FOXY!』のスーザンアントンとかキレイだった」


「へー」


「最後はピップの栄養ドリンク『ダダン』のCMで、『ダ、ダ~ン、ボヨヨンボヨヨン』って胸を揺らしながら言ったレジーべネットとか印象深いな。


最近、なかやまきんに君がまったく同じCMやってるからみさきも見たことあると思うけどな」


「うん、きんに君のは見たことあるな」


「まあ、いろいろ外人タレントを紹介してきたが、俺自身が外国人顔してるしな」

「どこがだよ!」

「よく似てるって言われるんだよ、ジョニー・デップに!」


「1ミリも似てないわっ!」

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