昭和40年生まれだ!馬鹿やろコノヤロ!父、泰造の昭和レトロ噺
misaki19999
第1話 土曜の夜の黄金時間
泰造が言った。
「俺が子供の頃は土曜の夜が楽しみでな」
「ほへー(まったく興味がない)」
「(構わず続ける)学校が半ドンで終わって遊びに行って、夕方帰ってくるとテレビがもうヤバイ」
「いい方のヤバイ?」
「いい方。まず6時半からフジテレビでヤッターマン見て……ヤッターマンは知ってるよな?」
「うん、前に嵐の櫻井くん主演で映画になったし、アニメもリメイクされた」
「そうそう、そしてそれを見た後がTBSの独壇場だ。
7時から、まんが日本昔ばなし見て、7時半から巨泉のクイズダービー見て、そのあとはお待ちかねの」
「お待ちかねの?」
「ドリフの8時だよ!全員集合がやるんだよ! エンヤーコラヤ、ドッコイシャンシャンコラヤで始まる……」
「わかんないし」
「それで最初に長めのコントがあって、ドリフの国語・算数・理科・社会が鉄板ネタだった」
「志村けんさんの追悼番組でなんか見たかも」
「そのあとに少年少女合唱隊のコーナーがあって、そこからは名曲、東村山音頭が生まれた。知ってるか?」
「やっぱり志村けんさんの追悼番組で聴いた」
「そうか。そしてゲストの歌手の歌や短いコントのあとに、加トちゃんがババンババンバンバン、歯みがけよ! で締めるという」
「どんな締め方だよ!」
「そしてまた来週! で番組が終わると、なんだか自分の大切な時間が終わってしまった喪失感を味わった。それを俺はドリフターズブルーと呼んだ 」
「今だとドリフターズロスか」
「だが、もう少し大人になると、その後の時間にこそ黄金があるのだと気付くことになる」
「なにそれ」
「土曜の夜は10時から大人の黄金時間が始まるんだよ」
「大人のって、なんかいかがわしいな」
「そう、いかがわしいエロい時間が始まるのだ!」
「おやじ、娘を前にしてサイテーだな」
「まあ聞け。まずは日テレの10時からやってたウィークエンダーだ。
その週にあった事件をフリップを何枚も使ってレポーターが説明した。
レポーターには桂ざこばや泉ピン子がいて、いま考えると豪華だった。
その中でもエロい事件を俳優とかを使って再現VTRにしたコーナーがエロかった。
お父さんそれ見ながら、ご飯何杯でもいけた」
「まじサイテーなんですけど」
「で、そのあとは東京12チャンネル、今のテレビ東京で、時々エロい映画やってた日本映画名作劇場を見て、その後に控えていたのが!」
「なんだよ」
「『独占おとなの時間』だ! これはエロかった」
「タイトルだけでもエロいな」
「女の子が普通におっぱい出してたしな」
「サイテー」
「じゃあ、お前には黄金時間ってあるのか?」
「ん、今だとNetflixとかYouTube見ちゃうから、テレビの黄金時間とかはないかな」
「それは寂しいな。テレビは斜陽産業かい」
「斜陽って、太宰治かっ!」
「お前の返しは、つまらんっ!」
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