第36話 オールスター水泳大会
泰造は夜は晩酌をしながらテレビばかり観ている。
スマホも持ってないからYouTubeも観れないし、アマゾンプライムもNetflixも観れない。
だから新聞を読むかテレビを観るかの2択だ。
今夜もテレビを観ていたら、松本伊代と早見優がバラエティ番組に出ていた。この二人は前に立入り禁止の所で写真を撮って問題になり、松本伊代さんの旦那さんのヒロミさんが謝罪したのを覚えてる。
その二人が昔、オールスター水泳大会は大磯ロングビーチの近くのホテルに前乗り(前日から泊まってること)していた話をしていると、
泰造が、
「オールスター紅白水泳大会! 懐かしいな」と言った。
「今、言ってたやつ?」
「そうそう。昔フジテレビで夏になるとやってたんだが、大磯ロングビーチにアイドルたちを集めて、
プールで歌ったり、競泳したり、水に浮かぶウレタンに乗ってゲームしたりしてたんだ。
俺が見てた頃の司会はたいてい『ゲロゲーロ』の青空球児好児か、あのねのねだったな。フォーリーブスの、おりも政夫もやってたかな。
その後は桑まんとか田代まさしがやってた気がするな。
それでまずは最初に選手宣誓だ。たいてい西城秀樹か郷ひろみだったが、
右手を高らかと上げて宣誓するのだが、左手をたいてい右の脇を隠すように当てていたんだ。
こんな風に」
泰造は右手を上げて、左手で脇を隠した。
「別にポージングしなくてもいいから」
「あれはなんだったのか? 腋毛を隠すためなのか?
それとも実際にはそんなポーズはしてなくて、後にお笑いタレントたちがそうやってたのが頭に刷り込まれたのか、真相は藪の中だが、やっぱり見た記憶はあるんだよな」
「そうなんだ」
「そして水泳大会といえば『ぽろり』だ」
「ぽろり?」
「水泳大会を盛り上げるために水中騎馬戦をやるんだが、
男が3人くらいで騎馬を組み、そこに女性アイドルが乗っかって、それが紅白20組くらいで戦うんだが、
中には女性アイドルではなく女子プロレスラーも混じってて、
そいつがぽろり要員のセクシー女優のビキニの上を奪い取るのだ!
すると……胸がぽろりだ。
俺はそれだけが楽しみで水泳大会を見ていたと言っても過言ではない。そんな男子は結構いたと思う」
「まったく男って奴は!」
「最近はあまり見かけないから、またやって欲しいな」
「コンプライアンス的に、ぽろりは抜きだね」
「じゃあ見ない」
「あんたって人は……」
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