第29話 セクシー女優
「青木はAVって見るの?」
青木は飲んでた紅茶を吹き出した。
「なんすか、いきなり」
「そうだよ、青木が見るわけないじゃん」
「AVを見ない男などおらん!」
「あっ、今はAVじゃなくて、動画が主流なんで」
「青木、エロ動画観てるんかいっ!」私はツッコんだ。
「いや実際観てるわけじゃなくて、今のトレンドとして、そう言ってるだけで」
「どうだか」
「まあまあ、ケンカするな。
それで最近はあまり見なくなったけど、セクシー女優のみひろって、いたよな」
「亡くなった志村けんさんとコントとかやってたね」
「そうそう。セクシー女優を足掛かりに、その後、いろんなジャンルに進出する人たちがいるよな」
「及川奈央さんも、セクシー女優から、普通の女優さんになって戦隊モノとか出てますし」と青木が言った。
「青木、お世話になったんだろ!」と私は言った。
「まあまあ、でも、そのきっかけを作ったのが美保純と可愛かずみだな」
「美保純ってつい最近もドラマで見たけど、可愛かずみは知らないな」
「亡くなってしまったからな。可愛かずみはそういったエロい映画はデビュー作の一本しか出てないのだが、
そのデビュー作がインパクトがあったから、ずっとそういう女優として色眼鏡で見られてた。
彼女はドラマ『季節はずれの海岸物語』シリーズに出ていたんだ。
片岡鶴太郎主演で海辺のカフェのマスター役で、いつも最後にはヒロインにふられるという、寅さんみたいな役回りだったな。大体テレビの改編期にスペシャルドラマとしてやっていたのだが、
メインの出演者が呪われてるとしか思えないような不幸に見舞われたんだ。
可愛かずみと古尾谷雅人は自殺したし、田代まさしは何度も何度も逮捕されて……なんだか大変そうだ。
全編ユーミンとサザンの曲が流れ、湘南が舞台のお洒落なドラマだったが、再放送は……無理だろうな」
「観てみたい気もするけど」
「あ、YouTubeに何本かあるよ」青木が言った。
「そうなんだ、今度観てみるよ」
「YouTubeってすごいな。なんでもあるんだな。俺はガラケーだし、YouTubeとは縁がないしな。っていうか違法動画だろ、それ」
「まあたしかに。公式ではないですね」
「まあ季節はずれの海岸物語は置いといて、その後セクシー界には豊丸と黒木香という両巨頭が現れた。
特に黒木香はワキ毛をあらわにし、ピーピーと笛を吹いて、村西とおる監督に『ナイスですね~』と言われていた」
「Netflixの全裸監督でやってましたね」
「そうそう、俺も観た」
「私のスマホでね」私は泰造を睨んで言った。
「勝手に観てすまなかったな。で、あとは飯島愛だな。サンジャポとか金スマとかバラエティー番組にひっぱりだこだったが、引退後しばらくして亡くなった。薬のオーバードースと噂されたが、原因はわからない。
セクシー女優って若くして亡くなる人が多くて、
苺みるく、林由美香もそうだったな」
うん、うん、と青木もうなずいている。やっぱり見てたんかいっ!
「あとは男優ではチョコボール向井と加藤鷹っていうのが……」
「おやじいい加減にしろ! それに青木も! そんな話ばかりするなら、2人とも出て行け!」
「うう、ごめんよ。みさき」
「みさきさん、ごめんなさい」
2人とも本心からは謝ってないのがバレバレだが、まあ許してやろう。
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