第41話 お笑いスター誕生
泰造にはダッフィーのカバンに付けるサイズのぬいぐるみと、デパ地下で買ったウニクラゲの瓶詰めをつまみに、青木も入れて3人で家飲みした。
泰造はダッフィーが気に入ったらしく、会社に持って行く革のカバンにつけていた。まるで女子高生みたいだ。
ウニクラゲの瓶詰めとても美味くて、それをメインに、後は唐揚げとか枝豆とかをつまみながら、それぞれ缶ビールを飲んでいると、
「青木は映画はよく観るのか?」
「わりと観る方ですね」
「ジョニーデップの映画は?」
「あ、すみません。シザーハンズとチャーリーとチョコレート工場しか観てないです」
「そうか。この前、長年の謎が解けてな」
「何ですか?」
「昔、キモサベ社中ってお笑いグループがいて、よくお笑いスター誕生に出てたんだ。
で、その変なグループ名がなぜかずっと頭に残っていたのだが、
ジョニーデップの映画でローンレンジャーっていうのがあって、DVDで観たんだけど、劇中にキモサベって言葉が出てきて、信頼できる友達って意味らしいのだが、
あのキモサベ社中って名前は、ここから付けたのか! と思わず膝を叩いてしまった。
ローンレンジャーは古いアメリカのテレビドラマのリメイクだからな」
「へー」
「そういう訳で、今からお笑いスター誕生について語ろう」
「別に語らなくていいから」私が言った。
「まあ聞け。お笑いスター誕生は土曜日の正午にやっていて、中学の頃は学校が昼で終わると急いで帰って見たもんだ。
司会は初代ルパン三世の声の山田康雄と中尾ミエだった。
まだ知名度の低い芸人さんが出てきて芸をして、5週勝ち抜くと銀賞、8週で金賞、10週勝ち抜くとグランプリで、
初代のグランプリはB&Bだったな。既にB&Bは漫才ブームで売れてたんだけどな。
それで2代目のチャンピオンが今、水曜日のダウンタウンで、ずっと険悪な仲だったのがやっと氷解して仲良くなった、おぼんこぼんだったな。
他には貴明&憲武……のちのとんねるずもグランプリを獲得したな。
他にもギャグ・シンセサイザーやアゴ&キンゾー、怪物ランド、大木こだま・ひびきの前のコンビの大木こだま・ひかるなんかがグランプリを獲得してたな。
でもグランプリまでいかなかった芸人も、結構印象深い人たちがいて、
六法全書片手に法律ネタをやるミスター梅助という芸人がいたんだが、司法試験を十数回落ちてるという話だったな。今はそんなの無理だけどな。五回までしか受けられなくなったからな。
昔は司法試験を落ちまくってるインテリ崩れキャラがよく漫画とかに出てきてたんだ。
他にはすっかり今では俳優だが、キザなセリフを多用した漫談をしてた、でんでん、
ボディービルのポーズをしながら漫談する、なかやまきんに君の先駆けみたいだった、ぶるうたす、
すごくシュールなネタをやってた象さんのポット、
今では関西No.1レポーターのタージンも出てたな。
ウンナンもシティーボーイズも、あのダウンタウンも出てたし、
たけし軍団のそのまんま東と大森うたえもんのユニット、ツーツーレロレロは審査員だった京唄子に、師匠が下品だから弟子も下品になると、ひどいことを言われてたな。
あとたけし軍団に入る前にやってた、つまみ枝豆とガダルカナル•タカが組んでたカージナルスなんかも出てたな。
前にCSでお笑いスター誕生の総集編を放送したんだけど見逃してしまった! 残念っ!」
「それ懐かしいですね。波田陽区っぽいです」
「波田陽区でさえ懐かしいと思われるんだもんな。時の流れは早いな」
泰造はしみじみと言い、くいっとグラスを傾けた。
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