第39話 コーラの王冠

 チューペットを食べた後に、私はウーロン茶、泰造は熱い緑茶を飲んだ。


「やっぱり酒を飲んだ後は、水分が欲しくなるな。今はお茶とかスポーツドリンクが主流だが、


昔はやっぱりコーラが定番だったな。缶の烏龍茶が発売された時は驚きだったな。味のついてないただのお茶をお金を出して買う人がいるのか、と。


ペットボトルの水が発売された時もそうだったな。水道で飲める水をわざわざ買う、というのがまだ理解されない時代だった」


「今は普通だし、お茶の方が売れてるもんね」


「そうだな。時代は変わったと思ったもんだ。

それと昔はペットボトルなんかないから、コカ・コーラもペプシも、瓶のを飲んでたな。そしてそれには王冠と呼ばれる栓抜きが無いと開かない蓋が付いていたんだ」


「今は王冠って、瓶ビールでしか見ないね」


「そうだな。それで王冠におまけがついているキャンペーンの時期があって、栓を抜くと王冠の裏側にビニールの膜みたいのが貼ってあって、


それをめくるとペプシやミリンダだと世界の国旗の絵が描かれていて、


コカ・コーラやファンタだと当時流行ってたスーパーカーのイラストや、スターウォーズのキャラクターが載ってたんだ。


 その上、当たりだとたしか500円、100円、50円、30円、10円などと書かれていて、その額がキャッシュでもらえたのだ!


10円は結構当たったが、500円はめったに当たらなかった。だから当たった時のうれしさはハンパなかったな」


「まあ今でも500円当たればうれしいけど」


「あと他に王冠に当たりがついてる飲み物は、チェリオ、セブンアップ、ちびっこコーラなんかがあって、


それらはキャッシュの当たりはなくて、もう一本当たり! とか、もう三本! とか現物で支給されたな。


で、コカ・コーラの王冠に戻ると、スーパーカーのやつではランボルギーニのカウンタックやミウラ、イオタと、


サーキットの狼で一躍有名になったロータスヨーロッパなんかが人気だったな。

 

当時はスーパーカーの形をした消しゴムも大人気で、よくBOXYのプッシュボタン付きのボールペンで、


スーパーカーのお尻をプッシュして机の上を走らせたりしたな」


「昭和な遊びだ」


「うるさいな。でも今のコーラはペットボトルだしな。すごいぞ1リットルのコカ・コーラが入ったガラスの瓶の重さは。


あと飲み終えた後の空き瓶は、買ったお店に持って行くと30円もらえたんだ。500ミリリットルのは10円だな。それをリサイクルしてまた使っていた。その方がゴミが出なくて良かったのにな。


たしかにペットボトルもリサイクルしてるけど、平気で海や山や川に捨てられてるからな。あれか瓶だったら近所の子どもたちが拾って、お金に代えるからゴミも減るしな。SGDSに貢献出来たのに。


あ、そういえば最近、栓抜きを使ってない気がするな。


家では缶ビールだし、居酒屋で瓶ビール頼んでも栓を抜いてあるしな」


「たしかにね」


「そのうち栓抜きを子供に見せても、何に使うかわからないって言われるかもしれない」


「もうなってるよ。缶切りもどう使っていいのかわからない子ばかりだし」

「そうなのか。じゃあ、コンビーフの缶に付いてる金属の棒でくるくる回して開けるなんて出来ないだろうな」

「ゼッタイ無理!」

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