第38話 なぜか山に落ちてる物
また泰造と2人で晩酌をした後に、私は青木と電話で少し話してから、泰造とアイスを食べた。
「やっぱチューペットは美味いな」
「そだね」私もプラスチックの容器に口をつけて、
半分凍ってるオレンジ味のチューペットをチューチュー吸いながら言った。
「まあチューペットは販売中止になったから、似た商品だけどな」
「そうなんだ」
「あとは夏といえばグラビア雑誌だ!」
「女子が引くようなネタはやめてね」
「ソフトなネタだから。俺が小学生の頃、ちょっとエロいグラビア雑誌がいろいろあって、
その御三家といえば週刊プレイボーイと平凡パンチとGOROだな」
「やっぱ引くようなネタじゃん」
「まあ聞け。これは映画スタンドバイミーみたいな、男の子の成長物語だ。
で、男の子ってやっぱり、山の中とか雑木林をみんなで探険するのが好きなんだ。
雑草が繁った森に入る時は、一定間隔で木に目印をつけてちゃんと帰れるように細工したり。
で、小学生数人でクワガタやカミキリ(カマキリじゃないよ)をつかまえたり、
服についた泥棒草(草ぼーぼーの中を歩くと必ず付いた)を取ったりしてると、
友達の誰かが必ず何かを見つけて声を上げるんだ」
「何を見つけたの?」
「エロい雑誌だ。なぜか山の中には必ずエロい雑誌が落ちているのだ。
それは未だに解けない謎なんだが」
「しょーもない謎だな」
「その時、落ちていたのはたしか山口百恵が表紙のGOROで、子供ながらにこの雑誌にはセクシーなグラビアと、
ダミーオスカーというエロいマンガが載ってるという情報が頭にインプットされてたから、
みんなで車座になってドキドキしながらページをめくろうとするんだ。しかし!」
「しかし?」
「昨夜降った雨のせいで中が湿っていて、ページがくっついてめくれないんだ!
みんな揃って『なんだよお!』と悲嘆の声を上げたものだ。
昨日、雨さえ降らなければ……と少年たちは人生の無情さに気付き、大人の階段をひとつ昇るのだった。
な、いい話だろ?」
「どこがスタンドバイミーだ!」
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