第43話 DAISUKI!
家飲みはまだ続いていて、私と青木は500ミリリットルの缶ビールを3本ずつ空け、泰造もまだハイボールを飲み続けていて泥酔状態だ。
泰造は呂律の回らない舌で、
「DAISUKI!」といきなり叫んだ!
「どうした泰造、酔っぱらい過ぎてどうかしちゃったか?」
「違うって。これは昔、土曜の深夜にやってた『DAISUKI!』って番組で、
CM前に、なんか胸キュンするような曲に合わせて、DAISUKI! ってアイドルの子が可愛く言うんだよ。
ブレイク前の篠原涼子や仲間由紀恵なんかも出てて、萌えたもんだ」
「泰造さんよおっ……でも、どんな番組なの?」
「中山秀征と松本明子と飯島直子が、ただいろんなとこに遊びに行くだけの番組なんだが、
土曜の深夜にやってたから、まったりしながら見るにはちょうどいい感じだったんだ」
「へー」
「温泉街に行って浴衣で卓球や射的をやったり、
乗馬や釣り、競馬場で馬券買ったり、あとパチンコ屋のロケも多かった。
アパートの物件探しもよくなってたな。
それで恒例だったのが、年末ジャンボ宝くじをグループ買いして、それをみんなで当たってるか見ていくんだが、
1度、200万円当たったことがあって、見ててちょっと興奮した」
「それはすごいですね」缶ビールをもう一本開けた青木が言った。
「タレントが観光名所とかに遊びに行くロケ番組の走りだな。
でも、そんな遊んでるだけの番組なんか許せないと、きちんとコントを作って番組をやっていた当時若手だった関西の芸人たちが中山秀征に激怒してたと、当時を振り返って言ってたな。
でも、そんなゆるい感じで実に9年も続いたんだよな。それもずっと深夜枠で。
今は深夜で人気が出ると、すぐにゴールデン進出するけど、
あれは深夜の味わいがなくなるからやめて欲しいな」
「月曜から夜ふかしも、いつの間にか月曜10時に定着したしね」
「フェフ姉さんとか、この時間帯でもエロいこと言ってタバコ吸ってるし、その辺の攻めた演出は変わってなくて良かったけどな」
「でも夜の10時で夜ふかしって、子供の寝る時間みたいですね」
「青木もお子ちゃまだからもう寝ろ! いつまで飲んでんだ!」
「お前もだ! 泰造!」
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