第44話 ラジオで名前が読まれた
青木が飲みすぎて眠りこけたので、居間のソファーに寝かせて布団を掛けた。いびきをかいている。
もう深夜だ。私がテーブルで酔い覚めのお茶を飲んでいると、泰造もお茶のペットボトルを持って椅子に座った。
「みさきは深夜のラジオにハガキを出したりしたはことあるか?」
「ハガキはないな。メールはあるけど」
「そうか。今はメールが多いもんな。名前もペンネームじゃなくて、ハンドルネームやラジオネームだもんな」
「うん」
「俺は昔、1度だけラジオにハガキを出して読まれたことがある」
「えっ! 何の番組?」
「ビートたけしのオールナイトニッポンだ!」
「おおっ、なんかすごそう」
「俺は高1の頃、ビートたけしのオールナイトニッポンを毎週録音して聴いていたのだが、
その前の週にビートたけしと高田文夫が、菅井きんの話題で盛り上がってたんだ」
「菅井きんって?」
「必殺仕事人で藤田まことに『婿どの!』と言いながら嫁と一緒になって、旦那をいじめる姑役をやってた」
「説明聞いてもわからないし」
「まあいい。で、その頃、作詞教室って短命だったコーナーがあって、
そこへタイムリーだと思って菅井きんの詞を作って送ったら、見事に読まれたのだ!」
「すごいじゃん」
「スゴイ下ネタで、ここで言うのも憚(はばか)るような詞だったけどな。でもたけしさんが俺の時だけペンネームを読み忘れたから、
次の日、クラスの奴に録音したテープを聴かせたけど、俺が投稿したやつだって言っても、誰も信じなかったな」
「悲しいね」
「それからいろんな番組のコーナー……鶴光のオールナイトニッポンのその時君は! とか、
とんねるずのオールナイトニッポンのなんでもベスト5とか、
ウンナンのオールナイトニッポンのタコイカじゃんけんとかも送ったけど1度も読まれなかった!
今はさすがに送らないけど、たまにラジオを聴くといつもパチョレックってラジオネームの人が読まれてて、悔しかったりする。ちなみにパチョレックって昔のプロ野球の助っ人外人の名前な」
「全然、わかんないし!」
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