第8話
最低限天井と壁が有れば良いだろ? と言わんばかりの部屋の中、荷物を枕にした藁のベッドで目覚めた朝。
昨日あれほど歩き回ったり、少なくとも記憶の上ではした事もない運動などを行ったにも関わらず筋肉痛などは存在せず。将来の展望も明るい希望の朝だなぁなどと呑気に思いながら荷物を全部持って外に向かう。
チェックインやチェックアウトなどという上等なものはなく、本当に空き部屋を貸しているだけ状態の酒場2階から外階段を使い外に出て。早朝に近い時間。大体の店も空いてはおらず、そこはかとない空腹感を抱えたまま街の外へ出る。
金銭面においてはとりあえず働けば生きていける、むしろ日当2万円であれば相当の稼ぎなのではないだろうか? そうは思いながらも毎日朝から晩まで歩き回っては剣を振るう生活が誰しも望むかと言われれば首を横に振らざるを得ないが。
ついでに言えば、命の危険もある仕事な訳で。運良く一撃必殺出来てはいるものの、もし2匹以上のスライムが先制攻撃を仕掛けて来るような生き物だったり環境であれば稼ぎ云々の前に地面の染みである。
とは言っても他に仕事も無いので、ぶらぶらブンブンとスライムを狩り、昨日ほどのペースでは無いものも50匹を地面の染みにジョブチェンジさせる頃には昼時になっていた。
「こんにちは! あ、今日もスライムの魔石の納品ですか? えぇっと……ふんふん、50個ですね! ……昨日も100個近く持ってきていましたけど、なんていうか凄いですね!」
午前午後を通せば100を超える予想が付くわけで、1匹辺りの収入が約300円程度の価値である事を考えれば日当3万円。昨日に比べて朝5時から昼前くらいまでと6時間近く働いたのに若干ペースが落ちている事を考えると若干不安だが、日当3万円なら毎日働けば月90万円だぜ! とガバガバにも程がある理論が展開できる。
三日坊主にならないように頑張ろう、そう思いながら昼食を摂りまた街の外へとぶらり。せっせとスライムを探しては剣を振り下ろす作業を始めるのであった。
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