第15話

 攻撃力や攻撃回数だけを重視していれば、森にきた時点でひょっとすれば死んでいたかもしれない。そう思えばやはり盾は大正義だったし一切無駄なことはなかったのである。


 その上でびっくりはしたものの対処可能である上に、こちらから探さなくても向こうから来てくれる事も多く一度に2、3匹来る事もあるオオカミはまぁ美味しい獲物というやつだろう。つまり森探索は続行であった。


 ウサギ肉のおかげで遭遇率上がってそうだななどと思いながらも、魔石や時折残る牙を拾いながら歩く事しばらく。これまで遭遇していなかった新しい魔物を発見する。


「グギャッギャ」

「ギャッギャッ」


 見た事ある魔物ランキングがあるとすればそれはもう上位入賞間違いなし。緑の肌に醜悪な顔つきの棍棒を持った人型の魔物。ザ•ゴブリンがそこにいた。当然の権利のように2匹セットである。


 ちょっとした感動を覚えながらも、片方の後ろから忍び寄るように近付いて鉄の剣を振るう。3発叩き込まれたゴブリンは無事地面の染みとなった。


「グギャッ!」


 流石に2匹目もそのままとはいかず、攻撃を許してしまう。振るわれた棍棒を盾で受け流し、流れるように振るわれた2発目を盾で受け流す。


 ……は? いや、何が起きたかは全然理解できているしラッキーではあったのだが、当然の権利のように2連撃してくる畜生も自分が2発まで防げることも知らなかったが???


 内心の動揺を隠しながら振るう鉄剣を、1度しゃがんで躱して2、3発目を喰らうゴブリン。もはや驚きは無い。生きていようが再度2連撃してこようが所詮は無駄な足掻きである。


 一周回って冷静になりながら地面の染みを増やし、1度剣を納めてゆっくりと息を吸い、ゆっくりと息を吐く。軽くストレッチをしてからそっと森の出口へと歩き出す。


 頭の中では冷静に思考を走らせる。つまり今の段階で森は危険か稼げる場所か、だ。もし受け流しが1匹毎に別計算なのであれば今までより儲かる狩場であり、そうでなければ死地である。


 ゴブリンから受けるダメージが未知数である以上、2発喰らって安全な保証は無く更に言えば3匹仲良くグギャグギャしていないとも限らない。更に言えば1回の攻撃で仕留めきれない場合もあり。


 で、あるならば。当然ながら選ぶ選択肢は一つである。


 逃げるんだよぉ〜!!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る