第11話

 貯金とは計画的なものであり、長期的な目標と突然の必要への備えの為にするものであって、無意味に金を持っているだけというのは経済に悪影響という話がある。


 だから数日分の稼ぎを全部吹き飛ばしつつも木の盾を購入したのは、きっとこの街の経済に貢献するという崇高な意思の表れだったに違いない。


 最低限宿泊代や食費は稼げるという事に慢心しながらもこうやって散財をしたのには勿論意味がある。というか意味もなく全財産使うのは正気じゃない。


 街を出て、木剣でスライムを一撃。当然の権利のように生き残っているスライム君の反撃である体当たりを、木の盾を使って防御する。


 とりあえず2発目を叩き込んで地面の染みにしつつ、ステータスを確認する。


名前:( )

性別:男

年齢:14

LP:94/100

MP:100/100

筋力:12/12

体力:16/16

技量:10/10

俊敏:13/13

魔力:8/8

知力:19/19

教養:150


 受けるダメージが確実に減っている事を確認しつつ、雑に15回程度受けれる事を確認する。決して命が失われるギリギリ感を楽しむ狂気に身を委ねた訳ではなく、当然ながら今後を見据えた処置だ。


 Q:最弱のスライムくんですら10回も攻撃を受けれない状態で、更に強いモンスターと戦うとします。当然お金の為には出来るだけ多く戦わなければなりません。どうしますか?


 A:リソースを節約し、出来れば無消費で狩りが出来ると最高です。


 となるわけだが、かといって武器を買い換えるというのにも限度がある。


 というのも、この鉄の剣とて受付嬢さんの伝手で廃品業者みたいなお店から超格安で買い取った代物。そうでもなければ立派な商売道具かつ凶器がたったの数十万で買えるだろうか?


 ご立派なダンジョンから見つけ出された魔剣だのドワーフの鍛治が産み出した名剣だのは、当然ながらお値段もとんでもない代物であり、そうでなくとも普通の鉄の剣の時点で3桁万円はする。


 まぁ言ってみれば商売道具であり、車みたいなもんだと思えば納得もでき……でき……出来ないけども事実としてそれだけ高いんだから仕方がない。


 というわけでこれ以上攻撃力を上げるには難しく、3連撃出来るようになるのを待つ段階である。かといって手をこまねいては待ち受けるのは餓死。


 という訳で防御力を上げ、より上の狩場を目指すという訳だ。だから決して全財産をはたくのは癖だとかそういうものではなく、必要だったからやっただけなのである。

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