第17話

 もりもりと増える貯金を眺めながら、さて次は鎧とか買ってみたりしちゃおうか、いやしかし受け流しがあれば武器を買い替える方が良いよなぁなどと思いつつステータスも確認しておく。



名前:( )

性別:男

年齢:14

LP:100/100

MP:100/100

筋力:19/19

体力:20/20

技量:18/18

俊敏:19/19

魔力:8/8

知力:19/19

教養:150



 あいも変わらず空白になっている名前からは目を逸らしつつ、割と成長しているように見えるステータスににっこり。上4つに比べて一切変動のない下側や100のまま不動のLPなどは気にしないものとする。


 実際初めて見た時に比べて倍近く上がっているとも言える筋力や技量などがどの程度ダメージに関わっているかはさっぱり分からないが、木剣でもスライム君が1発で地面の染みに変わるようになったので確実に成長しているのだろう。


 最近は4連撃まで出来るようになり、ゴブリンも1回の攻撃で確殺出来るようになったのでこれまたにっこりである。まぁ大して効率が変わったわけでもないのだが、確実な成長はとても気分が良い。


 朝一で部屋で虚空を眺めながらにやにやしている変質者といえば聞こえが悪いが、なんだかんだで3ヶ月近く生活していて急に部屋に入ってきた人間は居ないので問題はない。無いったら無いのである。


 ぶっちゃけ交友関係と呼べるほどのものもなければ関わりのある人間が片手で数えられる現状、道行く人に声をかけることすらしない私に誰かが尋ねてくる事は無いので、それこそ泥棒でも無ければ偶に確認に来るマスターくらいのものだ。


 というか会話する相手なんてマスター、受付嬢、昼に食べる用の飯を買う屋台のおっちゃん、あとは強いて言えば武器屋のおっちゃんくらいか。


 自分で言っていて少し悲しくもなってくるが、だからといって今の一種完成された生活ルーチンを崩すのもなぁ、という気持ちも大きい。


 まぁよっぽどのことがなければ暫くは今の生活を続けていこうと、気持ちを新しくした矢先、唐突にゴゴゴゴという音を立ててそこそこ大きな地震が起きる。


 そういえばこの世界では地震は初めてだが、割とよくあることなのかそれとも全然無いことなのかもわからないのでとりあえずはのんびりしておく。少なくとも建物が倒壊しそうではないので。


 少しするとこれまた唐突に揺れが収まったので、とりあえずいつも通りの生活を送ろうと淡々と飯を買い街を出た所でその異変を発見する。


 これまでまぁ道や草原、何も無い荒れてそうな荒野にちょっと遠くの森やかなり遠そうな山などは見えていた程度の地形に、見たことのないちょっとした大きさの……なんだろう、山というには小さい土か岩の盛り上がり? のようなものが出来ていた。


 なんというか、あんまりにもあんまりな形をしているので逆に疑わしさすら感じそうな、どこに続いてるのかわからない感じの深い穴の入り口みたいな感じのあるそれは、おそらくは想像通りのものだろうなという確信があった。


 どうやら、街の近くにダンジョンが生えたらしい。ダンジョンって生えるものなんだな……

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