荒磯の姫君（中）

　【『荒磯の姫君（上）』の続きです】
　相瀬は、「次の頭」に指名した真結とともに、満月の夜、島へと向かう。だれに知られてもならない儀式――その儀式に真結はとまどいを隠せない。相瀬は、その真結の様子を心配しながら、姫様を無事に逃がす方法を考え続ける。探索役の役人は海女たちの生活を知ろうと浜にまでやって来る。それぞれの思いが交錯する浜の海へ、嵐が近づいてきた。
　相瀬 … 唐子浜の「海女の娘組」の頭。
　真結 … 唐子浜の娘組の海女。「次の頭」に指名された。
　房、萱、浅葱、麻実 … 唐子浜の娘組の海女たち。
　美絹 … 相瀬の前の頭。
　貞吉 … 美絹の夫。船を操るのが巧い。
　林助 … 漁師の若者組の頭。
　盛の大小母 … 唐子浜の海女の長老。
　刑部 … 岡平藩の藩主。
　相良讃州 … 家…続きを読む