第39話 出発

お風呂ですっきりしたあと私たちは宿の外に向かった。どうやら町は昨夜のゴブリン騒動の話で、もちきりらしい。英雄グレン…勇者グレン…そんな風に騒がれている。

わぁ…大変だねぇー…と私は他人事のように遠い目をしながら歩いている。

本来はもうちょっとこの町にもいようかと思ってたけど、町を滅ぼしかけた真犯人をつれた私たち一行はあまりこの町にいるべきじゃないだろう。

まったくの悪意無く悪気なしだとは言え、ほとぼりが冷めるまでは離れたほうがいいだろう。

それにたった一日とはいえここではもう充分イベントをこなした。他の町にいったって問題ないさ。

そんな風に思いながらグレンを生贄にし町の出口に向かった。

スレイプニルを召還して一行は次の町へ向かった。どこへ行こうかな。砂漠の町とか面白そうだけど。敵が強いと言う意味で…でも、暑いところ行きたい気分じゃないし。やっぱ海底の町かな…

海底の町…確か名前はアクアなんちゃらって名前があったけど正直町の名前なんて興味ないので覚えていない。実際そんな町の名前なんて意識して生活しないでしょ。名前なんて海底の町で充分よ。私が命名して私が決めた。それでいいのだ。

と言うわけで海底の町に行くにはまず当然海のある方向に行かなきゃ行けないわけで海辺の町も経由しなきゃいけない。そして、この海辺の町の近くにはダンジョンがある。せっかくなのでダンジョンにもよっていこうかな。レベル上げもしておきたいし。エメラダのようなパターンもあるしゲームでは自分から魔人族のいるところに侵入しなきゃ戦う事はなかったが、この世界ではたまにそこら辺にうろついている事もあるようだ。確かに魔人族は全部が悪じゃないと言うのは理解出来たけど、明らかにあくどいやつもいて殺戮を楽しむタイプもいる。そんなのにふらっと出くわしたらたまったもんじゃない。

今のままじゃ私はもし仮にエメラダが本気で殺す気で向かって来たら勝てない。前回のはおにごっこの遊びだと思ってたって話なんだから私のプライドも傷つくってものである。エメラダ自身はおにごっこで完全敗北したので私のが絶対的に強いと思っているようだ。確かにあの時は勝てたが特定条件下でなら勝てるってだけである。これはおねぇちゃんの威厳を保つためにもレベル上げは必須事項なのだ。

ちなみにその当人であるエメラダはスレイプニルの速さに興奮してはしゃいでいたが疲れたのかユリシアのひざを枕にして寝ているのだ。

なんともほほえましい光景である。

ホント二人が仲が良くてよかった。

もし性格が合わなくて喧嘩になったりギスギスしたりとしたら大変である。

実際はほんとの姉妹のように仲がいいみたいだ。

そうこう考えているうちにどうやらダンジョンが見えてきた。

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