第9話 テンプレと出会いと…
転送ゲートをくぐりぬけダンジョンを出た私は森の中を歩いていた。
「あ…そう言えばダンジョン突破したから名前変更してくれるかな?」
大事なことなので忘れず今のうちに切り出してみた。
「はいはい…いいですよーそれで名前は何にするんですか?」
「うーんそれなんだよねー…シンプルに本名にしようか新しく名前を考えるか…」
「ほうほう…ちなみにご本名は確か…黒木美月さんでしたっけ?」
「ぐ…だいたい…なんで本名知ってるんだよ…突然家にやってきてるから住所から名前はわかるけどさ…なーんか名乗る前に知られてるとか…納得できないんだよね。」
「そうですか?何も語らなくても私の事全部わかってくれる運営さん素敵…!抱いて!ってなりませんかね?」
「なるかぁあああ!まったく…とんでもないストーカー能力だよ…」
「それでどうします?ちなみに名前登録は8ビットしかないので漢字登録は出来ません。」
「なぜこんな世界を作れる能力がありながらそこだけはファミコンレベルの容量しかないのよ!」
「うーん…だって僕もうこの世界に干渉する能力ないって言ったじゃん。本来は不可能なことをやるんだから8ビット分でも影響力があっただけでも良しとしてよ…」
「うぐ…まぁ確かに…てか、考えたらもともとは漢字登録出来てるもんね…草子って…漢字だし」
「そうそう…だからプレイヤーにだけ干渉できる条件でなんとか食い込んだのが8ビットってわけ」
「じゃーミツキ=クロキで登録して」
「ミツキ=クロキっと…あ…」
名前 ミツキ=ロキ
レベル 20
職業 無職
HP 278
MP 356
腕力 8
体力 8
魔力 8
敏捷 15
所持金0ギル
現金58670000円
「ちょっと…ロキってなによクロキよ!そんな魔王みたいな名前嫌よ!」
「…すまない…文字数制限にひっかかってクの文字が消えてしまった…あと前もって言ってあるが変更は一度きりなんだ。まぁいいじゃないか。君にふさわしい名前だと思うよ。神話のロキに定形はないし女の姿で過ごしてた時もあったし、大丈夫。問題ないよ。」
「ふざけんなぁああ!」
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とりあえず、どうにもならないなら仕方ない…草子よりはマシだと思い街へ向かった…
「きゃぁああああああああああ」
突然の悲鳴にそちらに駆けつけると盗賊ぽいのが女の子を囲んでいた。
「あ…これテンプレイベントだわ…ホントに運営介入してないの?」
「イベントなんて設定されてませんよ…普通に世界があるだけです」
「まぁどっちにしてもやることは変わりないか…フレイムアロー!」
ぎゃああああ
不意打ちに盗賊どもを焼き払う。まぁ誤認だったときは死体をインベントリーに隠して逃げればいいや。どうせ犯人なんてわからないだろうし。
「だいじょうぶ?怪我はないかい?」
私は爽やかに微笑みながら彼女を気遣う言葉をかける。
あぁ…ついに言えたよ。このセリフ…
「あ…あの…助けてくれてありがとうございます…もしかして…猫神様ですか?」
「はぁ!?何言って…」
『君…今の自分の格好分かってる?』
のあ!急に脳内で声が聞こえ驚いてしまう。
そう言えば私は今猫耳スーツだった…猫耳スーツで決め台詞…ダメだ…カッコつかない…終わった…
「この森に住むと言われる猫神様じゃないのですか?」
「それは誰なのか知らないが私の名前はロキよ。」
嫌だけど登録名を名乗る。
「そ、そうですよね。人間界の呼び名なんて知るわけがないですよね。でも、無詠唱で魔法を発動するなんてやはり…さすが神様…」
「え?」
何言ってるんだ?この子…?
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