第8話 ボス戦!

拝啓…みなさま…お元気ですか?

私は今日ここで死ぬようです。

めんどくさいと言ってボスに直行を選んだ数分前の私をぶん殴りたい…

気を引き締めろといったばかりなのになぜこんなことを忘れていたのか…

レベル15になり格好はともかくそれなりにいい装備と私の腕があればキマイラくらい

なんとかギリギリで勝てると思っていた。いあ事実キマイラなら勝てていたさ。

だが…今目の前にいるのはキマイラじゃなくベルセ・キマイラ…

通常種じゃなく亜種…ボスモンスターを周回していると時々出る上位種…レア種…そう言う奴である。

まさか一発目で引き当てるとは思わないじゃん普通…

このベルセ・キマイラは要はベルセルクなキマイラって事らしく野性的な…より凶暴なキマイラなのである。キマイラ自体既に凶暴な野生なのにさらに野生ってどういうこと?

通常手はあれは飼い慣らされたペット扱いって事ですか…

はい、そうですか…死ねってことですか…

くそ…

「はいはーい!いつでもどこでもやってくる移動販売所の運営ちゃんだよ?装備買う?買っちゃう?」

うぜえええええ

人のピンチに必ずやって来て助けようとしてくれる。

くそ…王子様か貴様は…

やってる事はまるで白馬の王子様なのに

むしろ人の弱みにつけこむ悪魔だとしか思えない…

「予定は狂ったけど…予定通り倒すわ…なに…普通よりちょっと凶暴なだけよ…大丈夫」

「ほんとに?顔色悪いけどホントに大丈夫?」

「ステータス的には全く勝てない課金プレイヤーを圧倒的不利な状況から今まで何度も勝ってきたんだから…この程度のステータス差なんて大したことないわ!」

と強がってみる…いあ…だってステータスとかさ関係なくあの巨大な獣と戦うんだよ?

普通に怖えーよ。なんかこっち向いて地面けっていつでも突撃できるように威嚇してくるし…

なんなん…あの生き物…ホント怖いんですけど…

でも行くしかない…そしてボスのテリトリー内に入った瞬間やつは突っ込んできた。

オーガ以上のパワーでキングラビットより早くヒュージスライムより遠い間合いからの突進…

なんて理不尽…こんなの反則だろ…一撃目をなんとかギリギリで躱したが通り過ぎた勢いで突風が吹き少しバランスを崩してしまう。危ない危ない…避けてもこれとかほんと酷いな。

そして間髪入れずさらに突進…幸い間合いを詰めて爪で攻撃などとそういう事はしてこないらしい。

そこまでする相手ではないと舐めているのだろう。どいつもこいつもムカつく奴ばかりだ…

いいだろう…その舐めた態度…絶対後悔させてあげるわ。

ゲームならどうあがいても勝てない相手だったけど

ここは現実…それならそれでゲームではできない攻撃手段ってものがあるのよ。

こちらを雑魚と決めつけた奴はまたワンパターンにも突進をしてきた。

そこで私の体はよろめきその瞬間奴の持つ鋭利な角が体を貫いた。

そう…貫いたのだ…だが貫いたのは私の体ではない…オーガの死体だ!

先程回収しておいた死体をインベントリーから咄嗟に出し盾替わりにしてやったのだ。

予想した重さより角にかかる負荷が重かったのか首を下げてしまった。

そして刺さったままのオーガを取り外そうともがいている。

もちろんそんな状況のキマイラを放置するほど私は優しくはない。追撃としてオーガの血をキマイラの顔めがけて放った。

「ぐあああああああああ」

視覚を奪われたキマイラは大きな口を開けて叫びながら私のいる方向に向かって噛み付こうとしてきた…

「冷静であればあなたの勝ちだったのに残念ね…この距離なら外さないわ…チェックメイトよ…」

私はキマイラに向かって手を突き出しキマイラの口がその手に襲いかかる!

「フレイムアローーー!!」

口の中で炎が燃え盛りその炎が喉を焼いた。

「何も地道に攻撃当てて膨大なHPを削る必要性なんてないんだよね。」

そう…どんだけ丈夫だろうが獣だったら呼吸をしてるだろうし

その呼吸ができなくなればあっさりと…

ドスン!

キマイラはその場で倒れふしたのであった。

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