第37話 グレン5

そして俺は今ゴブリンを迎え撃っている。

倒した数は既に30を越している。当初予定した数を楽々倒せてしまった…

何なんだこの剣は…相手の鉄の鎧すら易々と切り裂いていく。ホント恐ろしい剣だ…

だが惜しむらくは使えるのがこんな戦場じゃなければ生きて帰れただろうに…いくらなんでも500は無理だ…応援が来てくれればいいが間に合いはしないだろう…

そして60を倒したときゴブリンの剣が俺の左腕に傷をつけた。くっ…ここまでか…まだ戦えるがこの傷でバランスが崩れベストな動きが出来なくなっていずれ敗れてしまうだろう。



またしばらく戦い続けた頃…

中々に俺もしぶといな…まだ生きてるわ。

80匹を倒したあたりで気づく…左腕の傷が消えている事を…

な!!どういうことだ…俺は夢でも見ているのか?戦闘中に自然治癒するなんて俺はトロールにでもなってしまったのか?いあ、たぶんこの剣の効果なのだろう…切れ味だけでなく自然治癒強化効果まであるなんて…やはり彼女は鮮血の女神で間違いないのだろう…いったいなぜこんな所に現れたのかはわからないが女神が味方についているなら俺ももしかしたら生き残れるかもな…

そんな夢のような事をつい思ってしまった。


そしてついに100を倒したところで俺は体力切れで倒れこんでしまった…

まだ残り400はいるはずだが…やけに周りが静かだ

これだけ倒せば何人かは町の人間も生き残る時間が稼げただろう…

俺はもうここで気絶するが後から来る残りの400のゴブリンによって死体も残らず殺されるだろう…

まぁもう…充分がんばった…休ませてくれ…



目が覚める…

あれ?なぜ目が覚める?生きてる?なぜ?

400は別の方向に去っていったのだろうか…

とにかく町に戻ろう…




「うぉぉぉおぉぉ!英雄グレンの帰還だぁああ!」

は?何事だ…??

どうやら高台から俺の事を見ていたやつがいたようだ。

でも、結局残りの400はどうなったんだ?

その事について尋ねて見た。

「いあ…かなり遠くだったから俺も全部見てたわけじゃないんだが…何か赤い閃光が走ったかと思うとゴブリンが次々と消えていったように見えたんだ。倒れたとか死んだとかそういうちゃちな話の比喩じゃない。ほんとに文字通り消えたんだ。何を言っているのかわからねぇと思うが俺も何が起きたのかわからねぇ…何か恐ろしいものの片鱗を味わった気がする。」

と、金髪の髪をガチガチに固めて立てた髪型の男が答えてくれた。

400の事は結局わからなかったがみんなはゴブリンに立ち向かった英雄グレンに対して神様が超常の力でお助けになられたんではないかと言う結論になった。

神様か…そんなことあるわけ…いあ、神様…赤い閃光…女神…まさか彼女が?

俺はこの気づいてしまった真実を誰にも話さず伏せることにした。

そして俺は旅に出ることを決意する。

もっと強くなろうと思う。上には上がいる。

まだまだ俺は未熟なのだから…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る