第26話 商店通り
運営を殴り飛ばしてすっきりした私は商店通りをめざした。
ここはゲーム時代には大多数のプレイヤーが自分の露店を出していた。ゲームではそこだけに人が集中するのでサーバーが重くなりラグを引き起こしそこでログアウトしてしまったが最後人が少ない時間になるまでログイン出来ないなんてこともよくあった。
そして現実…
「なぁああ!もうどんだけ人がいるのよ!こんなにいたらラグって落ちれんじゃないの?私そのまま地球のほうに帰っていい?」
「馬鹿なことは言わないでください。僕の世界がこの程度の事でラグが起きたりするわけ無いでしょ。それにホントに地球に帰りたいですか?この世界を知ってそれでも地球のがいいと思いますか?確かに文明レベル低いですがあなたには課金アイテムで地球の家具家電とか持ち込み放題なのに帰る理由なんてありますか?」
「わ…わかってるわよ…冗談よ…いきなり連れて来られた時は怒りもしたけど今はその点については感謝してるくらいよ…地球に未練なんて無いわ」
特に会いたい人もいないしプレイヤー友達もここを捨ててまで会いたいかって言われたら別にね…
「ところでこんだけ人がいれば他にもプレイヤーがいてもよさそうだけど私以外いないの?」
「いませんよ…こんな特異点が何人もいたら10年で壊滅し50年で荒廃し300年で原住民は一人残らず滅ぼされるでしょうね。そんな事僕は望みませんよ。」
「そっか…安心なような…少し残念なような…原住民はプレイヤーよりはるかに弱いから勝負として成り立たないから少しね…魔物は普通に対等以上に強いから楽しいけどプレイヤーのような悪辣な策の駆け引きとかは無いからそれが少し寂しいかな…」
「なにのんきな事言ってるんですか?忘れてませんか?魔人族の存在を…魔物のように強靭で人間のように策を労す知的生命体の事を…今のままじゃ確実に負けて殺されますよ?あいつらゲーム時代なら賢いって言っても所詮あらかじめ用意された最適プログラムを実行するだけの存在だったけど現実ならプレイヤーと同等に危険な存在ですよ。」
「おぉ!!そうか!そうなるのか!ゲームのときは普通に他の魔物と同じだと思って印象に残ってなかったけどあいつらが現実化するのか…それはなんて恐ろしくも楽しみな…」
魔人族…それは最弱の村人扱いの魔人でもプレイヤーのレベル100相当の強さを持っている。その中の一流の戦士ともなるとおして知るべしってやつである。
「ははは…さすがあなたと言うべきか危険な現実を教えて少し凹ませてやろうと思ったのに喜んじゃってますよ…まぁ魔人族フィールドにいけるのはまだまだ先ですよ。じっくり備えてくださいな。」
「そっかーいろいろ行けるところあったもんなーまったくの初心者の状態でいきなり水中の国にいけるのは驚いたけどねー…普通そういうの中盤でしょうに…風景がきれいだったから海底で座ってよくしゃべってたわーあれ現実化した今どうなってるんだろう。」
「普通に行けますよ。今から向かいますか?」
「いあ…やめておくよ…まだもう少しここを楽しんでから」
「そういうと思ってましたよ」
そんな話をしながら私は屋台の串焼肉を買って宿に向かうのだった。
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