第25話 呼ばれた訳

グレンと別れてその後なにをしようかと迷っている私…

町をもう少し探索してもいいんだけどな…

結局入ってすぐトラブルに巻き込まれてしまったから何もしてないし。

せっかく50万ギル手に入ったし…何か買い物するってのもいいかもしれないねぇ…

ん?手に入れたのは30万ギルじゃなかったのかって?

そりゃ…ねぇ…敵を?倒したら?お金手に入るのって…当然だと思いません?

ちょうどさっき15匹の敵倒したじゃん?一人一万ちょっとくらいもってたから…

おっと…一「人」とか言っちゃったよ。あれは匹でいいんだよ。

なかなか嬉しい臨時収入だったよ…

「でも君7人しか倒してないですよね?敵を倒した報酬だと割り切るなら8人分の10万少々はグレンさんに渡すべきじゃないのかな?」

うぐ!?痛い所を突かれてしまった。相変わらずうっとうしい悪魔妖精…

「う…うるさいわ!グレンさんには治療したから治療費100万はもらわなきゃいけないはずなのよ!それを無料にしてるし、そもそもグレンさん私いなかったら死んでたし、私はグレンさんいなかったら皆殺しも楽しめてお金も堂々と独り占めできてたのに、手間が増えたくらいだし…

だいたいあんた!そもそもこの世界作った創造神的立場ならさ…

何でもっと善良な人を作らないのよ。出来るんでしょ?」

秘技!屁理屈をごねたあと別の話題にすり替え話をうやむやにする術…

「…そうですね…ぼくも出来ればそうしたかったんですがね…」

なんか急に暗くなった運営…あれ?

「なによ…」

「ふー…あのですね…馬鹿なあなたでも考え付くような事…この僕が試さなかったと思いますか?

もちろん試しましたよ。ゲームのときは善人だけの世界は普通に成立しましたよ。

でもね現実化するとダメなんです…善人だけだったはずの世界は時が立つにつれてまるで蛆虫のようにどこからとも無く沸いて出てくるんです。そして最終的には善人の世界は滅びましたよ。

僕だってあの世界でこうやって遊びたかった。でも何度やったって善人の世界は滅びるんです。

どんな世界だっていずれは滅びるのは当たり前なのですが善人だけで作った場合、普通の世界が滅びるまでの100分の一しかもたないんです。あっという間に滅びるんですよ。どんなに善人だけの世界を愛してもすぐ壊れてしまう。僕の世界を創る神の力も万能じゃないんですよ

。現実化すれば直接介入は無理だし結局こういうバランスの世界にして君のようなプレイヤーを呼び込み介入させるのが一番理想の世界になるんですよ。」

久々に長文を語る妖精…

「あ…なんかさらっと語られた今まで不明だった私がここに呼ばれた存在意義…」

「ははは…まぁべつに秘密ってほどじゃないですしそれにあなたに勧善懲悪のヒーローになれとか何かしろって強制するつもりもありませんよ。あなたならあなたの思うがまま普通に過ごしてくれるだけで僕の理想に近づけると思いますから。」

「ふん…言われなくても私は私の思うがまま行動するわ…あなたがどんな邪魔をしようともね。」

そして、わたしは静かにピコハンアックスをテニス持ちに持ち替え…

ズガシャーン!

運営を武器で殴りつけた!

「なにが『馬鹿なあなたでも考え付く』じゃ!ボケ!もういっぺん言ってみろ!しばくぞ、ゴラぁあ」

「えええ!!今そういう雰囲気だった?そういう突っ込みするところだった?今のタイミングで僕の事殴り飛ばせる??信じられない…頭おかしいんじゃないの!?何なのこの人」

まったく人の事を言いたい放題で心外である。

私ほどきれいで澄み切った心の持ち主はいないと言うのに…

心貧しい人には私がおかしく見えるのだろうな…

かわいそうに…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る