第35話 振り返る思い出

朝日が出始める頃、私はエメラダをつれて宿に戻っていた。

そして宿に戻るとまだぐっすりと寝ているユリシアの姿が…

え?あれ?そう言えばこの子…もしかしてずっと寝てたの?

私がクモに驚いて叫び声あげて暴れた時も気づかず寝てたの?

大丈夫?私いなかったら普通にゴブリンに寝たまま襲撃されてたけど

それでいいのかな…

質素な村育ちの子だから虫とかに慣れててちょっとやそっとじゃ起きないように熟睡できるように訓練されてるのかしらね。

「そう言えば運営…」

「はい?」

呼びかけに即座に答える運営…

「今日の賭けの内容だけどどうやらやっぱり私の勝ちのようね。」

「はい?」

先ほどと同じ返事を繰り返す運営…しかし意味は違っているようだ。

「確かに私はマイハウスを出したけどマイハウスは開いてないわ!あなたが宣言した内容はマイハウスを開くだったよね?」

「…そこまでして勝ちたいか…なんて人だ…ここまで負けず嫌いだったとは…」

「簡単に負けを認めれる人がトップまでいけると思う?これくらいひつこい勝利の執念が無きゃ勝てるわけ無いじゃん。」

「はいはい…ぼくの負けです…何かほしいものはありますか?賭けの戦利品として強い装備とかどうですか?」

「え?ほんと?くれるの?……ってこれ課金装備じゃん!あぶな!人の事負けず嫌いと言っておきながら自分もたいがいじゃないか。さらっとどさくさにまぎれて私に敗北をプレゼントしようとするなんて…ホント油断のならないやつだ…」

「これくらいあくどい性格してなきゃ運営なんて勤まらないのだよ。ふふふ」

「もしかして二人はいいコンビ?」

エメラダが吐き気のするような恐ろしい事を言ってくる。

「エメラダ?こういうのはいいコンビとは言わないのよ?見習ったらダメだからね?」

ちゃんとエメラダには教育をして行こうと思う。

私と運営をいいコンビと言える感性ではとてもじゃないけど社会になじめないかもしれない。

そう言えば何か大事なこと忘れているような気がするけど

なんだったかなぁー…誰かの事忘れてるような…ユリシアの事忘れてたけどユリシアは普通にずっと寝てるし、うーーん…まぁいいかー。

思い出せないものはほっといて次の町に向かう準備でもしようかな。

この町にも結構長いこといたなー…いろんなことがあったなぁ…

最初の日に入り口で衛兵に絡まれたり…次の最初の日にグレンと会って15人のごろつきに絡まれて…そして最後の最初の日にはゴブリンの群れがやってきて大混乱!グレンにエクスカリバーをあげて…大変だったなぁ…それでエメラダと出会ったんだよね。思い出して見るといろんなことがあったな。

………

……

って…全部今日の事じゃん!!どんだけイベント詰め込んでんのよ!!

人を過労死させる気か!

あまりの怒涛の一日に私は唖然としてしまうのであった。

そして…思い出す…

グレンの事忘れてた…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る