第34話 罪悪感

私は悩んでいた…確かに魔人族は悪って言う先入観を抜きにして見るとこの子の行動は最初から最後まで一貫して遊んでただけだった…蝶々を目で追ったり落ち着きの無い子供の行動そのものだった。

わからないわからない…どうすればいいんだろう…

もしこの子が力がありすぎるただの子供だったら私はそれを理由にこの子を殺せるだろうか?

加減の知らない力を暴走させているのは殺すには充分な理由ではある…危険だ…でもだからって罪悪感を感じないかって言ったらそれは別だ…ダメだ…この先何年生きるか知らないが…一生この子の犠牲を背負って生きていくなんて私には無理だ…

殺せない…

「はぁ…」

私は大きなため息をつくと魔人族の少女に中級ポーションをかけた。

すると少女は意識を取り戻した。

「う…うん…」

「だいじょうぶ?」

「あ…おねぇちゃん!すごいね!さっきのどうやったの?私も飛んでみたい!蝶々みたいに軽やかに舞ってすごかったー」

相変わらずの眠たそうな目だがよく見れば目を輝かせて本当に純粋に感動しているのがわかる。

どうやら私の目のが曇っていたようだ。

「あれはエンジェリックウィングって言って…」

私はスキルの解説をしてあげる。おとなしく真剣に聞いてるようである。

「そうだ?おなかすいてない?甘いケーキ食べる?」

私は課金のケーキを購入し少女の前に出す

「わぁ…なにこれ??食べていいの?」

「うん!いいよ。」

「!!!!!!!!!」

声にならない声を上げ目を白黒させている。

「すごい…こんなおいしいものがあるなんて…」

「気に入った?じゃーもう一個あげるよ。でも今日はこれだけね。あんまり食べ過ぎると身体に悪いからね。」

そういうと納得したのか頷いたが…突然暗い顔をしだした。

「…」

「どうしたの?」

「…あのね…私、何も覚えてないの…自分の名前も…どこに行けばいいのかも…なにもわかんないの…だから…ね…おねぇちゃんについていっちゃダメかな?」

正直この子を連れて行っても面倒ごとのにおいしかしない…

でも私はこの子を殺せなかった…殺さなかったんだからその責任を取らなきゃいけない…なんてそんな義理は無いんだけど…ただ私にはその責任を取れる強さがある…この子にちゃんと加減を教えて全うに社会に適応できるようにしてあげれるだけの力が私にはあるのだ。

だからわたしは…

「うん…いいよ。でもあなたはまだ力加減が上手じゃないから加減の仕方を教えてあげるから一緒にがんばろうね?」

「うん!がんばる!」

「よろしくね。私の名前はロキ…あなたの名前は…うーん覚えてないのか…じゃー私がつけてあげる。エメラルドグリーンの目をしているからエメラダなんてどう?」

「うれしい…私…名前…エメラダ…よろしくです!」

こうして立派な身体の発育のいい中身幼女の魔人族が仲間になった。

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