第53話 目が覚めたら
目が覚めると私は裸だった…
と言うか風呂場で体を洗われていた。
全身がいつの間にか泡だらけになっていた。既に頭もシャワーを当てられ洗われていた様だがよくこれで私は起きなかったものだ。古来からの拷問に眠らせない方法として水をかけるなんてのがあるがこれでは私はその拷問を平気で寝ていられるかも知られない。
まぁきっと二人がゆっくり丁寧に優しくやってくれていたから今まで起きずにいられたのだろう。なんともこの二人もとんだ技術を上げてきたものである。もはや癒しのセラピストのようである。
「おはよう…ふたりとも…」
「お目覚めになられましたか…ロキ様…まことに勝手ながらお体を洗わせてもらっています。」
「いあ…それはいいよ。ありがとう。助かったよ。」
「ずいぶんお疲れのようだったので…あれからちょうど二日寝ておられました。お風呂も実は二回目です。」
え…なに?どういうこと?
「うそ…え?じゃーちょっとまって!たいへんじゃないの!あなたたち食事は!?」
「あ…私たちは大丈夫です。あの妖精様が食事を出してくれましたので…心苦しかったのですが私たちだけいただきました。」
「ロキおねぇちゃんに食べさせようとしたんだけど妖精さんがダメだって…」
「はい…そうなんです。りんごなど摩り下ろしたものとか水などを少量ずつなら良いと言われたのでそのようにしました。」
「え…そんな…私、そんな看病されちゃってたの?ごめんねぇ迷惑かけて…」
「いえ、私はロキ様のお世話が出来て幸せでしたのでご迷惑だなんてそんな…」
相変わらずのユリシアの忠誠っぷりである。
それにしても運営がこの子達のために食事を出すなんて…それどこの運営?偽者でしょう!本物をどこへやった?本物を返せ…いあ別に返してもらわなくてもいいか…あんなの…
(人が気を使ってあげたのになんて言い草ですか!?せめてそこは私の偽者が出たときはちゃんと…あんなのでも私の大切な仲間なの!とかなんとか言って本物の私を助けに来てくださいよ!)
うあ…さすがに風呂場に姿出すのはまずいと思ったのか脳内に話しかけてきた…
てか、突っ込むところそこかよ…あんなの扱いは認めちゃうのか…
まぁとにかく…一応お礼を言うわ…あの子達にご飯出して色々指示をしてくれてありがとう。
(礼には及びません。勝手にあなたの口座から食料分の課金は引き落とさせてもらってますから。こちらもビジネスですよ。本音は課金装備を売りたいのはもちろんですが課金食料でもまったく問題ありませんので。どのような手段でもお金はお金ですので。)
うぐ…いあ…そりゃそうだけどもちろんそれでいいんだけど…
何の問題も無いんだけど…なんか言い方…
(私と君にしんみりとしたお付き合いは似合いません。これでいいんですよ。)
ふん…そうね
そこは同感ね
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