第52話 リスク

「あぁーあ…なんか色々あって疲れた…私はちょっと先に寝させてもらうね…お風呂は明日入るよ。二人は先に入ってていいよ。」

そういって私は布団に入ると眠りについたのだった…いあ昏倒したといったほうがいいのかもしれない。

そう…あのおせっかい妖精が言ったように無理をしていた…あの魔法は本来あのような使い道をする魔法ではないのだ。あの使い方には異常なほどの精神力を使いとてもじゃないが乱発できる魔法ではないのだ。

ゲームではオンラインゲームトリプルスリー専用のデバイスが存在した。

その名をセレブレイトデバイスという。Cerebrate DeviceであってCelebrate Deviceではない。思考装置であってお祝い装置ではない。間違えないように。

そしてこのデバイスは思念を伝えてキャラを操作する事が出来るのだ。

それ故他のゲームとは隔絶したアクション性が可能となり絶大な人気を博した。

このセレブレイトデバイスは殴る蹴る等の物理的な動作にも作用したが革命的だったのが魔法を自分流にアレンジできると言うところだった。自分のイメージ力で魔法の効果や範囲を変える事が可能なのだ。そして、このインビジブル…本来は他人から自分の姿だけを見えなくして潜入作戦とかに使用するのが主な使用目的であった。その魔法を攻撃手段に変えたのがこの天才ゲーマーの私である。ある日自分じゃなく自分以外を見えなくしたらどうなるかと試したところ対戦相手は昏倒…私自身もしばらくしてそのあと昏倒…

すぐに運営から告知が出た。この魔法の改変はしないようにと…

運営側からの停止はセレブレイトデバイスそのものを停止しなければ不可能だったため

個人の自己責任での扱いになった。

しかしどういうわけか。私のこの魔法を実践してみようと言うものは現れなかった…

いあ、いたんだろうけど誰一人実行出来なかったのである。私のところにコツを聞きにくるものも現れたが誰も発動させる事は出来なかった…理由はわからない。この使用後の精神疲労度から言って膨大なイメージ力が必要なのだろう。感覚でやっているからわからないが…たぶんそのあたりがもしかしたら私は常人よりずば抜けていたのかもしれない。まぁ要するうに私は天才ってことだ。ふふふ。

そういう訳で表向き禁止になった魔法だが私自身そのあと対人戦で使った事はない。確かに使えば常勝不敗は揺るがないだろう。だがこれを使うと疲れて寝てしまうのでゲームの時間が減ってしまうしなによりおもしろくないのである。あれをこうしてこれがああなってみたいな細かな戦術を必要としない圧倒的な力って使っても面白くないじゃないか。

それで本題、そんな魔法をなぜここで使ったかと言うとあの魔人族に出会った瞬間わかった。奴は強く普通に戦えば負けないまでも苦戦をして何かしら傷を負っていたかもしれない。そうなるとエメラダが自分の責任だと不安に思いPT抜けるとか言う事が予想できた。

なので私は魔人族を圧倒し例え何が来てもわたしのそばにいれば大丈夫だと言う私の言葉に説得力を持たせようとしたのである。ほんとに魔人族が何人も押し寄せてきたらやばかったんだけどそこは自信を持ってハッタリである。

あぁ…それにしてもつかれた…もうずっと寝てたい…などと考えながらまた深い眠りについたのだった。

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