第51話 エメラダの悩み
魔人族の男を始末したあとゆっくりとエメラダのほうを向く。
「ロ、ロキおねぇちゃん…わたし…」
あー…名前も聞かずに殺しちゃったなー
何か今後の役に立ったかもしれないのに…まぁいいか…
「なーに?」
別のことを考えながら返事をする私。
「わたしは…ここにいないほうがいいかも…」
うーん…やっぱそう来たか
「んー?どうしてー?」
わたしはのんびりした口調で答える。
「だ、だって…もし記憶が戻ったらわたし…ロキおねぇちゃんたちの敵になるかもしれない。」
敵ねぇ…私にとっての敵にはなりえないだろうけど…
「そうねぇーそうなったら大変だねぇー」
なんでもないことのように流す。
「だからー!」
涙目になりながら必死に訴えてる。泣くほど嫌なら言わなきゃいいのに…
「それで…ほんとはどうしたいの?エメラダ…」
私は本心を聞きたいのだ。
「だから離れなきゃ…」
意味のない問答…
「うん…それは危険の回避策であってやりたい事じゃないよね?解決策ですらないわ」
回避策と解決策は違う。回避策は問題の先延ばしに過ぎない。
「わたしは…一緒にいたい…で、でも…そうしないと…」
「ふーん…そうしないとどうなるの?エメラダがルーシアスとか言うのになって私を殺すの?」
「そう…なるかもしれない…」
私はそっとエメラダを抱きしめ言う。
「だいじょうぶよ…エメラダはエメラダよ。そこは変わらない。記憶が戻ってもきっと大丈夫よ。」
「ロキ…おねぇちゃん…うぅ…」
もう今にも涙がこぼれそうになっている。
「ふふふ…それにほんとに私を殺すなんてこと可能だと思う?さっきの戦い見てたでしょ?あなたと同じ魔人族が為す術もなく指一本触れることなく自滅して私に殺された。このロキおねぇちゃんに対し敵に回ったくらいで勝てると思ってるのかな?それにもし記憶が戻ってどうしても私を始末したいと言うなら…もう一度記憶がなくなるまで教育してあげるわ…あははは!」
「はわわわわゎ…」
エメラダがガタガタ震えて青ざめている。
「ぁわわわわゎ…」
ついでにユリシアもガタガタ震えて青ざめている。
いったい誰だ?こんな怖がらせた奴は…
…私か!
「まぁ大丈夫よ…またエメラダを惑わす奴が来たら何人でもおねぇちゃんが始末してあげるわ。だからずっとわたしのそばにいなさい。」
そう言って私はもう一度強くエメラダを抱きしめた。
「よかったですね。エメラダ…」
エメラダの頭をなでるユリシア…
「ロキおねぇちゃん…うわぁぁぁぁん!」
はいはい…泣くなら無理しなきゃいいのに…
「それはそのまま…君に言いたいですよ…無理し…」
「黙りなさい…」
私は神出鬼没妖精の言葉にかぶせるように言った。
まったくまた余計な事口滑らそうとする無駄口妖精。
その後私たちはマイハウスを呼び出し、そこで休む事にした。
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