第46話 異常な確率
二階層を殲滅した私たちは三階層目に来ていた。
三階層はボス部屋があるだけで他は何もない。二階層クリアしちゃうとすぐボスの部屋の前である。
あの最初のダンジョンに比べるとめちゃくちゃ浅いのだ。敵のレベルが高いがダンジョンとしては敵がいなければ10分もあれば回れる広さである。
「さて、この扉を開けるとボスだけど準備はいいかな。」
ここのボスはアラクネと言う人間の女性の体にクモの足が生えた魔物である。
クモの残忍さと人間の狡賢さを持つが…
船頭多くして山登ると言うか…クモの頭と人間の頭があるせいで行動指針に一貫性がなく…
まぁこのメンバーならそう怖い相手ではない…油断さえしなければ…
「うん!だいじょうぶ!」
「ロキ様が行くのならどこへでも行く準備は出来ています。地獄へも!」
一人ちょっと重たい人がいるけど気にしない。
そしてボス部屋の扉に手をかけ押し開けた。
中には予想通りクレイジージャイアントスパイダーがいた…
…ってなんでやねーーん!!
クレイジージャイアントスパイダー…アラクネの人間部分がなくなり食欲だけが暴走して巨大に育ってしまったグラトニー種である。
こいつもゲームのときにアラクネ討伐をやっていると時々代わりに出てくるレアな上位種ってやつである。
いあいあ…そりゃないでしょ…どんな確率だよ。ベルセ・キマイラの時は…まぁそういうこともあるかなーとは思ったけどさすがに二連続って…そんなことまずないでしょうよ。
「ねぇ運営!あんたホントはこの世界なんかいじってるでしょ?理不尽な変更を入れたりしないとか言ってたくせにこんな連続でレア引き当てるとか理不尽でしょ。いじってなきゃありえないわ!」
「失礼ですね…ぼくはそんな無粋な事をしませんよ…作られた偶然ほど興ざめするものはありませんからね。ぼくのプライドに誓ってそのような事はしてませんよ」
「むぐ…まぁ確かにあんたはそんなの嫌いそうだし…でもだったらこの偶然はどう説明するのよ!ほんとにただただたまたま偶然が重なったって言うの?冗談じゃないわ!」
「うーん…ぼくも確証がない事を語りたくはありませんが…あくまでひとつの可能性の話として聞いてくださいね?そうかもしれないし違うかもしれないと言う程度の…」
「まぁいいわ…わかったわよ…あなたの考えを聞かせてよ」
「えーとですね。ぼくがこの世界を創った時点ではゲーム設定とほぼ変わりのない設定のはずでした。ですが君と言う特異点をこの世界に呼び寄せた時点で世界の構造が変わり確率の正常な収束が行われず異常なパターンばかりを引き当てるようになった…って言うのが今のぼくの考えです。
さらに課金装備や課金アイテムを原住民に分け与える事で君と言う特異点の渦はさらに加速し異常を引き込むブラックホールのようになっていると考えられます。」
「つ、つまりどういうことだってばよ…」
「君はこの世界で誰よりもトラブルに愛された存在になった…と言う事です。」
と、この人格破綻者は爽やかな笑顔で私につげた…
そんなばかなぁあああ…
「よかったですね?トラブル…好きでしょ?いつだったか…トラブルを求めてるかも…みたいなシーンありましたよね?望みが叶ってよかったじゃないですか!いやーめでたいめでたい!」
そう言いながら腹を抱えて笑う悪の申し子。
だあああああああ
むかつくぅぅぅうぅ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます