第47話 廃棄処分
あーまったく先日の宿屋での蜘蛛といいこいつといい…
どうして蜘蛛ってやつは私の安寧を邪魔するのか。
クレイジージャイアントスパイダーはそこらじゅうに蜘蛛の糸を吐き出しこちらの移動範囲を狭めている。あの糸に触れればちょっとやそっとじゃ離れない。クレイジージャイアントスパイダーは糸にかかった獲物を優先的に襲う習性があり、そこでもがいているうちに一瞬で押さえ込まれ食われてしまう。エメラダでも脱出はちょっと難しいかもしれない。不可能とは言わないがきついだろう。アラクネより 抑え込む力も糸の粘着性もアップしているのだ。非常に厄介なのである。
出来るだけ近づかないほうがいいのでここはユリシアに攻撃させよう。
「ユリシー!どこでもいいからあいつに弓を連射して!」
「はい!」
ユリシアの放った連続矢がクレイジージャイアントスパイダーの腹部に突き刺さる。
「シャアアアアアア!」
まぁまぁこわいこわい…ご立腹です事…
さぁ来い!切り刻んで針で刺して標本にしてやんよ!
…と、迎え撃つ準備をしたがクレイジージャイアントスパイダーはこちらには来ずに巣の糸に絡まったユリシーの放った矢に向かっていった。そして矢を食べ始めた…
いや…確かに糸に絡まったものを最優先に襲うとは知ってたけどそこまで…しかも矢なんて食うのかよ…どん引きだよ…グラトニー種は食う事しか考えてないから仕方ないのかもしれないが…これ生物としてどうなんだ…まぁ壊れてるってことだよね…
あんなのに食われて死ぬのだけはごめんだわ…
さてどうしようかな…
あんな凶暴なやつ正面からやりあいたくないし…まず蜘蛛とか嫌いだし触りたくないし
あ…そっか…食欲最優先か…
じゃーあれで行くか…
私は自分たちの移動が出来そうな場所を確保しその反対側の位置にある蜘蛛の糸の前まで来た。
そしてインベントリーを開き…たまっていたあれを出した…
そろそろどこかで処分したいなーって思ってたやつだ。
死体に鞭打つような感じになるので罪悪感があ…いあまったくないが
むしろ嬉々として報復作業として楽しみですらある。
どんな風になるのかなーたのしみー…私は絶対ごめんだけどねー
そう…わたしは15人のごろつきどもの死体をその場に捨て先ほど確保した広場に戻った。
死体が置かれた瞬間クレイジージャイアントスパイダーは大急ぎでそちらに向かい死体を喰らい始めた。
ムシャムシャ…
うあぁ…グッロー
ネチョ…
あはは…すっご…
ドロッ…
へぇ…そんな風に食べるんだ…
バキッ…
うあ…気持ち悪…
あぁ…中身出ちゃってるよ…
ボキッ…
えー…そこっておいしいのか?絶対まずいって…
グチュ…
あぁ…よく食べるなぁ…大事な部分取れちゃってるよ…はぁ…すごい…
っと…眺めてる場合じゃなかったな。
「総員!遠距離攻撃準備!エメラダ隊員は瓦礫の投擲。ユリシー隊員は弓矢による射的。
目標!暴食の化身!」
「いつでも可能です!」
「うん!やれる…」
では…
「撃てぇええ!」
と、なんとなく軍隊的指揮でやってしまった。だってかっこいいからなんか言ってみたいじゃん。
エメラダの攻撃は見事にクレイジージャイアントスパイダーの腹部を粉砕していく。ユリシアの攻撃も着実にダメージを与えている。そしてわたしもフレイムアローで巣ごと焼き払う。
どんどんダメージ食らって逃げなきゃいけないはずなのに食欲が優先されてその場を動けないでいる。巣に燃え移った火が自らの体を焦がしてるというのに食べる事をやめない…
ホント壊れた生物である。
そして数分間一方的に攻撃しているとやがてクレイジージャイアントスパイダーは動かなくなりその命のともし火を消したのだった…
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