第30話 スキル

みなさん…ゲームセンターは行った事あるだろうか?

そこにあるあのワニ叩くゲーム…

あれをやった事をある人なら今の私の気分を少しは理解できるかもしれない。

ピコピコハンマーを持ちひたすら振り降ろす…この繰り返し…

息をつく間もなく振り続けるハンマー…弾け飛ぶゴブリン…

254…255…256…

345…346…347…

っと…お、やばいやばい…

向こうにグレンがいる。こちらには気づいていない。

グレンは今のところ60匹って所だろうか…

まだ100匹近くあまっている。あと53匹以上は一旦距離をとってグレンの見えないところで倒そう…

急いで反対側に周り続きを狩る。

387…388…389…

398…399…400…っと!

よし、これで勝利条件達成!

結構危なかったな…いい勝負だったよ…グレン…君はいい好敵手だ…

自分の目標に満足した私はグレンとは離れたところで地面に寝転がりながらグレンが残りを討伐するのを眺めていた。これ以上狩ると私の姿を見られてしまうからここで終わりにしようと思う。

やっぱグレン強いよねー…ほんとに原住民か?他の傭兵とは一線を画しているというか…

そんなこんなでグレンが最後の一匹を倒したその時…背後に突然死の気配が!!

振り向くとそこにはゆっくりとこちらに歩いてくる赤髪の美少女が…

嘘でしょ…そんなのありえない…

「あっれれぇ?私のゴブリンどこ行ったんだろう?ちょっと先に散歩させていたらいなくなっちゃった…」

なんでこいつが…こんなところにいるのよ…これがフラグ回収ってやつ?

そんな何も今来なくても…ゴブリン討伐で疲れたあとなのに…

どんなに弱い相手でも最低レベル100のプレイヤー相当の強さを持つと言う魔人族…

ダメだ…勝てない…私こんな所で死ぬのかな…

結構楽しくなってきてたところだったのにな…

こんな事ならすぐ町を出て海底の町に行けばよかった。

「課金ー課金ー課金装備はいりませんかー?安い!強い!格好いい!の三拍子そろった課金装備はいりませんかー?」

イラッ…

ホントにホントに…この悪魔は…

今めっちゃシリアスなシーンだっただろう…

どうしてそんなときにやってくるかな…

はぁ…もう…気分台無しだわ…

「いーりーまーせーん!」

確かに今のままじゃ天地がひっくり返ったって勝てやしない…

だけどそれは今のスキル構成ではって話である。

なにせレベル10になってからフレイムアローとって以来一度もスキル取得していないのである。

幸いこの魔人族は今すぐ私に攻撃を仕掛けるつもりは無いようである。

その隙にスキル設定を…

現在レベル30

ついにこのときが来たのである。この時のためにあれから一切のスキルをとらなかったのである。

レベル30と言うのが前提のスキルツリーの枠がある。普通にスキルをとっていると30になるころにはだいたい2,3ポイントしか余ってなくこのスキルツリーをほとんど進められない。

だが今の私にはフレイムアローに使った1ポイント以外のレベル1から30までの全てのポイントがある。ここで全部投入するのである。

セイクリットセイバー

インビシブル

リジェネサークル

エンジェリックウィング

グランドクロス

と、こんなところか…

完全クレリックとかそっち系のスキルばっかりである。

スキル選びだけで言えばレベル80相当の強さになったと思う。

だけど相手は魔人族レベル100以上…これだけじゃまだ対等じゃない。

戦い方でどれだけステータス差を埋められるか…

またオーガと初めて戦う前の時のように手足が震える…呼吸が乱れる…

でもここが勝負…

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