第23話 グレン2

「こちらが買い取り金額になります。」

あの子キングラビも出してやがった…あんな魔物まで現れるなんていったい何が起きてるんだ…

まぁそんなことは今はいい…とりあえずあの子にそれとなく忠告をしよう…

「あの…お嬢さん…さっきの男たちの事なん…」

「あ!さっきの親切に教えてくれたお兄さん!ありがとうね!助かったよ」

「いあ…それはいいんだが…その…」

「それじゃまたどこかでー…今度お兄さんが困っていたら何か助けてあげるよ!じゃーねー」

なんかものすごく急いで会話を終わらせられてしまった…

急ぎの用でもあったのか…運が悪い…

とりあえずもう少し遠くから様子を伺おう


と、思ったがなんなんだこの子は…どうしてそんな人気の無いほうへばっかり行くんだ…

どんな安全なところから来たんだ?この程度の警戒くらい5歳児でも出来るぞ…

そんなことを思っていると案の定やつらが現れた。

「おい…そこの嬢ちゃんよーこんな人気の無いところに来るのは感心しないなぁー」

「な…なんなんですか!あなたたちは!」

「今更警戒したってもう遅いぜ…もう囲まれてるからな…へへ」

く…10人がかりで少女からかつあげ…どんなけクズなんだ…

まぁいい…10人か…そんな手練ではいなさそうだし油断しなければやれるか…

「お嬢さん!こっちに来い!そして逃げるんだ!ここは俺が時間を稼ぐから!とにかく逃げろ!」

「そんな…ダメです!お兄さんも一緒に逃げて!」

俺の心配するなんていい子だ…だが今だけは足手まといになるから気にせず逃げてほしいのだが…

「大丈夫だ!俺はお嬢さんなんかより断然強い!10人くらいならなんとかなる…」

そう言いながら俺は男たちを次々と切って行った。

よし、思ったより強くない…体力も持ちそうだ。

そう思って9人目を切ろうとした瞬間、背後から脇腹を刺されてしまった。

そんな馬鹿な…どこにいたんだこいつら…あぁ…なに言ってんだ…伏兵なんて常套手段じゃないか…

あの子のことを心配して考えるあまり普段しない油断をしてしまった…

くそ…こんな所で死ぬのか…あの子のことも守れず…無駄死にか…

だが薄れ行く意識の中で俺はとんでもないものを見た。

赤い服の少女が男たちの手足を一瞬でばらばらにしていく光景を…

無駄の無い動き、美しいとさえ思える残虐性…

ありえない光景だ…きっと死ぬ前に俺の願望が見せた幻だろう…

こんなものを見るなんてつくづく俺は間抜けだったな…ははは…

そして俺は意識を失った…

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