第17話 新たな装備と門番

私は今風になっていた

スレイプニルにひかれた馬車に乗っているのだがなんて速さ…

こんなことならもっと早く出せば良かった。

「あががががが…」

横でユリシアが壊れていた。

何か私に伝えようとしているのだが

速度による恐怖で言葉が出ないようだ。

「『なんですか!?この馬は?いったいどうなってるのですか?』って?」

たぶんそんなことが言いたいんだろうなと思いユリシアの意思を汲み取ってあげると

ユリシアは大きく縦に頷いた。

「うーん…何かと問われても知らないとしか…神話に出てくる伝説の馬?まぁ無理しなくていいから馬車の中に入ってなさい。外の様子は私が確認しておくから。」

ユリシアは申し訳なさそうにしながらも自分が外に顔を出していても

何の役にも立てないと理解し馬車内に入っていった。

町が見えて来たのでさすがにこの馬車は目立つと思い少しはなれたところで一旦降りることにした。

ちなみに今の装備は…


適正レベル20

疾風の鎧

防御18

敏捷30

詳細はここをクリック


ステータスは落ちるけどまだマシな格好だと思うからこちらに着替えた。

猫耳スーツはあんまり人に見られるのはまずい…

ちょっと腕の立つ旅人って事にしておきたい…

ちなみにマシな格好ってのが鎧のことだと思ったか?馬鹿め…

そんな普通の装備がこのキャラに持たされてるわけないでしょ…

ゲーム時代の私…ちょっと殴らせろ…くそ…



適正レベル20

疾風の鎧

防御18

敏捷55

詳細

見た目→サンタドレス


あほかと…もうね

どこからつっこんでいいやら…真っ赤なドレスに雪を思わせる白のファーがついている。

幸いこの世界にサンタなる概念はないからコスプレ扱いされはしないがこれも充分だめなやつである。ベストじゃなくベター。断腸の思いで猫耳スーツよりはマシと判断したまで…

ダンジョンに行くわけでもないし人里に行くだけなのであるから

これでも過剰戦力には違いないのだ。

ちなみにこの格好を見たユリシアはしばらく放心した後

「まさか…猫神様の正体が鮮血の女神様だったなんて…なんて事でしょ…」

とか訳のわからない事をつぶやいていた。

だから誰だよ…その鮮血の女神って…物騒な名前だな…

しばらく歩くと町に着いた。

門番がいた。超怪しい目で見られている。

そりゃそうだ…いきなり真っ赤なドレスの女なんて現れたらそんな反応になるだろう。

「町に入りたいのだけど…身分証もないのだけど、どうしたらいいかしら?」

すると門番の男はニヤリと笑い…私の耳元近くまで顔を近づけてきて言った。

「どうしても入りたければそっちの木陰で俺の相手をしてくれたら通してやるぜ?なぁ?意味わかるだろ?俺の下半身をちょこっと鎮めてくれれば…」

男は最後まで言い終わる前に私のピコハンアックスによって首を跳ね飛ばされ

その後眉間を矢で打ち抜かれていた。

もちろんこれはユリシアの仕業である。

「君ってかなり倫理観が崩壊してるよね。確かに僕の生み出した世界に必要ない人種だとは思うけどそれでも人語を操る同じ人間をこうもあっさり…あの盗賊のときもそうだけど悪人とは言えあれだけ人殺しになんのためらいも後悔もないなんて…すごいよ」

運営が横で何か言っている…

「倫理って言うけど人を殺しちゃいけない明確な理由ってないんだよね…説明できる?」

「まぁ確かに無いね…同種だろうと邪魔なら殺せばいい…

リスクとメリットの問題なだけで詰まる所なにもないんだよね…

ほんとにいけないことなら神様なりそれに類する存在がそう出来ないようにプロテクトかけるよね。僕でもそういう世界作ろうと思えば作れたのに…

さらに上位存在が出来ないわけがない…

故に神は同族殺しを容認している…と言えるね。」

運営は何か小難しい事を言っている。

「まぁそういう難しい話は私にはわからないけど悪意には徹底して容赦しないのは当然だと思うよ」

「そうですよ!ロキ様にあのような発言万死に値します。」

ユリシアはユリシアでまた別の理由で倫理が飛んでるようである。

それにしてもよくあの距離で会話が聞きとれたもんだ…

地獄耳だな。ユリシアは…

その後門番の死体をインベントリーにしまい証拠隠滅を図って

堂々と町に入っていった。あんな脅しをするくらいだからこれまでも普通に身分証のない人間が中に入ってるのだろう。中でなにかしら身分証も作れるだろうから特に不安はない。

ただ、町に入る前からこんなトラブルじゃ中でもいろいろあるだろうなと思うと少し憂鬱な気分になるのであった。

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