第5話 オーガとの死闘!

目の前には扉がある…ここが最深部なのでここを開けばこのダンジョンのボスである。

もちろん私は扉を勢いよく開け…るわけがない…

流石に装備があってもレベル1でボスはいかない。

その前に引き返し雑魚で肩慣らしをしてからだ。

最深部にいるモンスターはキングラビットにオーガとヒュージスライムそしてボスがキマイラ…

どれも普通に戦えば現状勝ち目はないが1パーセントでも勝てる見込みがあるのがオーガだけである。

キングラビットはとにかく素早いので無理…先読みしても回避不可能なので今はパス…

ヒュージスライムはこちらが近づく前に粘液飛ばしてくるので無理…キマイラに関しては論外…

それで唯一作戦しだいなのが斧を持ったオーガとの斧対決!ガチムチガチンコバトルである。しかも1:1でなければならない。なので今は物陰に隠れて息を殺して待機中である…

かれこれ30分…この状態なのである。なかなか一人で歩いてるオーガってのは見かけない。オーガですらぼっちはレアなのである。オーガにすらぼっちという点で負けているのである。

ってうるさいわ!ぼっちちゃうわ!一人が好きなだけです!ほっとけ…

…と脳内でノリツッコミしてるうちについに単独オーガが姿を現した。そして通り過ぎ背中を見せた瞬間左肩を軽く叩き振り向かせその喉元を目掛けてピコピコハンマーの見た目をした斧を振り抜いた…

「グフゥ…!!」

そのまま首を切り落とせれば良かったのだがそんな可能性は最初から考えていない。

ステータス差がありすぎて絶対無理なのは分かっていたからまずは喉を攻撃して大声をあげれないようにしたのだ。普通に背後から攻撃した方がダメージは大きかったがどっちみち倒しきれず怒りの咆哮をあげられて仲間を呼ばれて私の敗北が決定してしまっていた。

なので今回はあえて振り向かせ喉破壊に専念したのだ。

喉を潰されもがくオーガ…もちろんそこでのんびり手をこまねいている私ではない。喉を押さえた状態で頭を下げてるオーガに向かって鼻目鼻の順に2回3回と斧を降る。

…が、追撃はここまで…流石に不意を付いたと言えどオーガだって反撃してくる。私の胴くらいの太さの腕を横降りに振り回しその鋭利な爪で私を襲ってきた。そして私の体は無残にも引き裂かれ…なんて事はなく余裕を持って躱したのであった。目もまともに見えない状況で放った攻撃なんてなんの脅威ではない。だがここで油断してはいけない。例え行動力的には重症の瀕死と言ってもいい状況だがダメージはさほどではない。これがオーガだ。体力腕力どちらも異常…人間の戦う相手じゃない。

なのにこの世界はこれと戦っていかなきゃいけないんだから、恐ろしい世界である。

まだ視力の回復しきれてないオーガに対し私は背後に回り石を投げつけた。もちろんダメージなんてない。ただの嫌がらせである。さらに怒り狂ったオーガが私の方角に向かって両腕で頭部をガードしながら突進してきた。まるでトラックの衝突である。あの巨体での突進はもはや質量兵器だ。

「はぁーあーあ」

と私はあくびをする…

流石にここまで全部予定通りに行動されると戦闘中でもあくびが出るほど眠くなる…

ドゴォォーン

あらかじめ掘っておいた20cmほどの溝に思いっきり足を引っ掛けて盛大に転ぶオーガ…

本心を言えばオーガが生き埋めになるような落とし穴を掘りたかったが

そんなのを小娘が一人で掘れるわけがない。

どこぞの有能な執事が一晩でノートの偽物作るくらい無茶な話だ。

20cmの深さで足を確実に踏み外す広さを彫り上げるのも、汗だくになりながらやりきったのだから表彰ものだと思う。

とりあえず気絶しているオーガをとどめを刺しに行く…

気絶しているといっても1分もしないうちに意識を取り戻すだろう。その前に両足をロープで縛る。

理想は両手も縛りたいがそんな時間はない。うつ伏せのオーガの腰辺りに座り込み頭に向かって斧を振り下ろす。振り下ろす。振り下ろす。十数回目でオーガが目覚め反撃しようとしてきたが背中の真ん中あたりに座り込んでるので充分にちからを込められず体をひっくり返すこともできないまま絶命した…途中一瞬腰が浮いたときは流石に冷や汗をかいたが無事討伐完了である。

そして私のレベルアップの時間である

「う”に”ゃああああああ!」

痛痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃ!

一気に体が作り替えられていくため凄まじいい痛みが流れる…

予想はしていたがその数倍痛い…

だがおかげでレベル7になった。

これならなんとか不意を打てば一撃でオーガの首に深手を負わせるくらいにはなっただろうか。

これで出血死を狙えそうだ…正直そんなグロい殺し方したくないんだけどなぁ…

そうも言ってられないのである。

そうして私は次の単独オーガを待ちつつ休憩しながら物陰に隠れるのであった。

「切れない刃物で殴り殺すのも充分グロいと僕は思うのだが…おかしいだろうか?」

うるさい…あぁ腕が疲れた…ほんと…

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