第20話 神の御業と断罪

お兄さんが倒れ付した瞬間…私はお兄さんを刺した男たちの手足を切り落とした。

身動きが出来ないように…でも殺さないように…

そうして獲物を逃がさないようにしたあと急いでお兄さんの下に駆けつけた…

傷は深いが即死するような傷ではないのはわかっていた…

だが放置すればいずれ死ぬだろう…

どうやら意識も無いようだ…

「まったく…ほんと馬鹿なお兄さんだよ…

こんな人が死んであんなゴミがのさばって嫌な世界だよ…」

「ロキ様…このものはどうなるのでしょう…やはり死ぬのでしょうか…」

「まぁ…確実に死ぬだろうね…今は生きていてももうじきいずれ…」

「…」

あれれ?ユリシアが私以外の存在に気にかけて心痛めてる?

やだぁ…嫉妬しちゃうよぉ?

なーんてね…そうだねぇ…こんな人が死ぬなんてあんまりだよね…

私を守るために命がけで戦ってくれたんだから…少しくらい報われたっていいよね。

神がいるならこういう人にこそ祝福を与えてあげるべきだよね…

そして今私が神…って設定…ほんとの神は性格のひん曲がった妖精だからダメ

私が演じきる…

私は左手首を軽く切って血を流し…

痛ったぁああああ!!!

漫画じゃすました顔でやってんじゃんみんな…あれ絶対嘘じゃん

実はみんなめっちゃ痩せ我慢してたの!?

あの名シーンもやせ我慢とかめっちゃダサいし…

まぁそれはともかく…私の滴る血をお兄さんの脇腹にかけた…

そして見えないように私の傷口から右手に持った特級回復ポーションをかけた…

そう…これはこの世界には無い課金製のやつである。

あの家具ガチャで出たゴミ扱いされちゃったやつである。

「わが血の力により心優しき勇者に再び生命の息吹を!」

それっぽいセリフに合わて私の傷は一瞬で癒え、

そしてその下にあったお兄さんの脇腹の傷も跡形も無く消え去った…

いあー…まじすげー部位欠損も回復できそうだな…

お兄さんはまだ意識は取り戻していないが呼吸も安定しもう死ぬ事はないだろう…

「さすがロキ様です…勇気ある人間が死に行くのを悲しんで

涙しながら自らの血を分け与え死のふちから復活させるなんて…」

ユリシアがめっちゃ感動している…

ちなみに涙云々ってのは手首切って痛すぎて涙流していただけである。

なんとも残念な真実だ…あはは


さて、お兄さんが目覚める前にお楽しみの復讐タイムと行きましょうか…

さっきまで生かしておいたダルマ状態のクズどもを…

私の手首の痛みの分もきっちり払ってもらいましょうか…

そして私は男たちを少しずつ輪切りにしていったり

脇腹に剣を死なない程度に突き刺して

インベントリーから取り出した食材の塩を傷口に塗りたくったりしていった。

「ぐぎゃああああ!!」

「たのむぅぅ!命だけは!!」

「かぁちゃぁああああん!たすけてぇええ!」

「ほらほら!根性見せろよ…お兄さんは泣き言ひとつ言わずに痛みに耐えてたぞ?

少しは見習いなよー私だって手首切ったときは声も出さずに我慢したんだぞ?

情けないぞーお前らー悪党の端くれなら死に際くらい花咲かせて見せろよ!」

「うぎゃああああ」

「やめてぇえええ」

あぁ…肌の潤うなんて楽しいひと時かしら

あははははは

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る