第21話 そしてまた日常へ
さて、どうしようか
私は今悩んでいる…
もうすぐ意識を取り戻すであろうお兄さんについてだ…
第一案…このお兄さんを放置して今回の事はなかった事にして逃げる…
いあさすがにそれはないな。私がいなくなれば例え自分が無事だったとしても心配してまた探そうとしてしまう。必要なかったとは言え私がプレイヤーじゃなかったら普通の人間だったら命の恩人には違いない人にそういう誠意の無い態度は私には出来ない。
第二案…起きるまで待って無事だけ伝えて第三者が介入して助かった事にする。
悪くない案だが第三者って誰だよって話しになって矛盾が出てくるかもしれない。
とりあえず保留だな。
第三案…全て伝える。うーーん…
隠し事が無ければ何か今後お兄さんの身を守れそうな課金アイテムを渡して
一番誠意ある御礼の仕方が出来るかもしれないが、それじゃギリギリまで行動しなかった意味が無くなる…お兄さんの腹切り損である。悪党狩る人数減った私の損である。
だからこれも出来れば却下したい案…
やっぱ第二案しかないかな…
「第四案あるよ!課金アイテムを使ってさくっと記憶を消してお互い何も無かった、戦いなんてなかった事にする…」
「却下よ!」
なんて事を言うんだこの悪魔妖精…口を開けばろくな事を言わない。人の情ってものが無いのか。大体仮にも命の恩人にそんな危なげな薬使えるわけ無いでしょ!
っと思案している間に…
「あれ…生きてる…腹の傷が無い…どうして…」
どうやらお兄さんが起きたようだ。
「あぁ…お嬢さんは無事だったのか…良かった…当然か…」
「えぇ…おかげ様で助かりました。」
ん?当然?
「でも俺はなんで無事なんだ?」
「えーと…その…なんか神様っぽい人が?治して行った?みたいな?」
ダメだ…まだ言い訳がまとまって無かったせいで
一昔前のギャルみたいなしゃべり方になってしまった。
「…そっか…お嬢さんが言うなら…そうなのかもしれないな…」
っと少し寂しげな目をしながらお兄さんは言った。
え?なにその表情?まさか…気づいてる?
でも今更方向転換は出来ないし…
とりあえず今日のところはこのままお互い何も知らない設定にしておこう。
もしほんとに気づいているならその時はその時…
「あーそう言えばまだ名乗ってなかったな。俺の名前はグレン…傭兵をやっている。
また何か困った事があったら言ってくれ。このあたりの人間ではないのだろう?わからない事などがあったら相談に乗るよ。」
「ありがとう!でも親切なのもいいけどあんまり今回みたいな無茶ばかりしないでね?いつかほんとに死んじゃうよ?」
「ははは…そうだな…気をつけるよ。じゃーまたなー」
そしてお兄さん改めグレンは去っていった。
「うーん…これでよかったのかなー…」
「たぶんまた話し合う機会がありますよ…そんな気がします…あの感じじゃ近いうちにトラブルに巻き込まれてそしてそれに私たちも参戦してる。そう思いませんか?」
ユリシアが意味深な事を言う。
「そうね…」
トラブルか…ゲームであったならそれはクエストって言えるだろう。
ゲーム時代のこの世界のクエストはほんとつまらないどうでもいいことでこんなアイテムが必要みたいな事を言われるだけだったけど
現実化してからは話しに深さが出来たからすごく面白い。
地球ではトラブルなんて真っ平ごめんだったけど、
こっちに来てからはトラブルが何か楽しみになっている。
いいのかなーこれで…トラブルを待ち遠しく思うなんて…
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