第42話 孤独な戦い

あれから半月が経った…今私は一人で孤独にも絶賛毒と格闘中である。

「ああああ苦しいいだいぶマシになったけどいつまでかかるんだろうこれ…ゲームでは少しずつやったから3年ほどかかったけど実質稼働時間で言えば半月くらいで獲得できるはずなんだけどな。感覚的に言うとたぶんまだ少しかかりそうだ。」

ちなみにどうして私がこんな事一人でやっているかと言うと…



時間をさかのぼる事半月前の毒をくらった日…

運営が本当のことをみんなの前でばらしたので二人が心配してしまってすぐに解毒剤を飲むように勧めてきたのである。気持ちはわかるけど私も引けないので拒否しようと思ったのだが、ふと名案が浮かんだのでる。例のマイハウスの特殊能力…外界の時間停止…これ使えばいいんじゃないかな?

思い立ったら吉日二人の前でマイハウスを呼び出しこう言った。

「わかった、わかったよー…仕方ないな…じゃーちょっとマイハウスに解毒剤置いてあるからちょっと取ってくるよ。」

と言ってマイハウスに入り鍵を閉めた。

「おぇええええ」

誤魔化す必要のなくなった私は遠慮なく吐いた。苦しみに対して素直に苦しんだ…

もちろん当然のことながらマイハウスに解毒剤なんて置いてない。そんな意味のわからない事する訳ないのだ。普通にインベントリーに入れておけばいいんだからマイハウスに置いたりはしない。そして解毒剤なんてあっても使わない。

ここできっちり耐性をつけて二人のいる時間に何事も無かったかのように帰るのだ。



そして、今に至る…半月一人でマイハウスにこもりリジェネサークルをかけ続ける。凶器の沙汰と言われればそのとおりである。反論の余地なしの狂人の行動だと自分でも思う。

そして、さらに半月がたった…つまり毒をくらってから一ヶ月…苦しみに苦しみぬいて…ついに私は毒耐性を獲得したのである。

「はぁ…はぁ…なんとか終わった…これで帰れる…」

「おつかれさま…でも帰るのはまだ待ったほうがいいとぼくは思うな。」

な!!!背後には悪魔妖精の姿が…

「な…なんで…」

「それはどっちの意味だい?何でここに僕がいるのかについては、僕は仮にもこの世界の神だよ。マイハウスに入り込むくらい造作も無いよ。そして、何で帰らない方がいいかって言ったら、鏡で自分の顔見てみな?例え向こうでは時間が経ってなくたってそのひどい顔で戻れば異常に気づくよ。君が意地を張ってまでやってる事が無意味になってしまうよ。もう少し休んでから精神も正常に戻してから戻ったほうがいいよ。今の君まるで野生の獣みたいだもの…ははは」

私は鏡を見て驚いた。顔はやつれて苦しみのせいでろくに寝れなくて目の下はくまが出来ていてとても乙女の顔ではない…悪鬼羅刹って感じの顔である。

あぶなー…運営に覗かれてたのは非常に不愉快ではあるけど忠告してくれた事には感謝である。危うくこんな顔で二人の前に戻るところだった。

「止めてくれて…ありがとう…」

「あら…一ヶ月の毒のせいで性格まで丸くなっちゃったんですか?そんな素直に感謝するなんて…気持ち悪いですよ。さっさと休んで元の性格に戻しなさい。」

く、くやしいがやつの言うとおりである。正直喧嘩する気も起きないほど私は憔悴しきっているようである。

私は素直に眠りにつくのだった。

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