第47話 Dのクエスト5
二匹目を討伐して、袋に詰め込むと、他に魔物の気配はないから座ってお茶にする事になったのだ。
魔力や体力を回復する薬草茶葉を魔法で熱湯を作った中に放り込む簡単なお茶である。
木製のマグカップ一杯に入った薬草茶は、少し甘みの中に渋みがあるが、喉がさわやかになり鼻に抜ける香りが、また格別である。
ポーションほど劇的な変化はないが、ポーションはやはり薬と言う感じが抜けず今は、此方で十分な感じがした。
「さっき、青い炎だった」ソフィアが、短く言う。おそらく炎の色が違うことについての質問だろう。
「そうですね。炎形は普通オレンジや赤い色の系統なのに青白い炎なんて初めて見ました」補足でジェシカが質問してくる。
やはり、高高温の炎のイメージがないんだろうな。
「普通のファイアボールの倍くらい温度が有ると思うぞ。見たことはないの?」と問い返す。
「無い無い!そんな炎何処探せば有るって言うのさ」すごくまくしたてられた。
「高圧のガスを燃やすと炭が勢いよく燃えるより高い温度で燃えるんだけどな。そうだな、火山とかかな?後は、星?」天空を指さすがたぶん理解できないだろう。
「はっ。星なんて小さな点じゃないか!アンナのが、熱いなんて言ったら頭がいかれていると思われるってば」
「普通はそう言われれますね。本当に熱いのなら夜の方が熱いって事になりますし」
「そう。冷たい光り」
最近ソフィアしゃべるのおっくうになってないか?言葉が少なくなった様に感じるぞ?
「焚き火を例えにしてみようか?焚き火に触れるぐらい近くだと熱くて大きいだろ?でも、1リーグ先から見たら、小さな点、そして温くもないだろ。焚き火がどういう物か理解しているからそこに焚き火があるって理解できるだけだよ!」
「じゃあ、お日様はすぐ近くにあるって事?飛んだら触れられる程、近くにいけるの?」
「無理だよ、人間が近寄れるほど近くにはないよ。仮に近づけたとしても、蒸発するぐらい高温だと教わったけど、この世界でそれを説明できる人はたぶん居ないな。」と説明する。
「何だ、受け売りか!でもそんな凄い賢者さんが居たんだね」話から、死んだ人が 言ったと思ったようだ。ほんとは、異世界の科学知識なんだけどね。
「じゃあ!夜空の星は遠くにあるお日様って頃なんですか?」
「言い質問だね。ほぼ正解、夜に遠めがねで星を見てごらん。色々な形や色があるよ。気の遠くなるような程、離れているお日様よりさらに何百何千と離れている星達はお日様の仲間だね」
「おかしい。昼には無い」
「それは、お日様の方が近くにあって明るいからその光りで見えないだけでほんとは光っているんだ。お日様が隠れて暗くなると分かるだけなんだ」
「難しくて分からない」
「確かに、偉ぶって言ってるけど俺も半分も分かっていないからね。知らないことを知っていると言うだけだよ」
「ますます解らない事言うわね?知らないことは知らないんでしょ?」とクロエが言う。
「無知の知といってね。知らないと言うことは無いと言うことと同じなんだよ。でも、そこに存在しているということだけ知っていれば、それは有ると言うことになる。でもそれがなんなのかは、理解できないということは、知らないと言うことになる。分かるかな?」
「たとえばどんなことですか?今の説明ではよく分かりませんよ?」
「たとえば、冒険者は色々な魔物を知っているよね?でも実際に対応していない魔物はよく分からない。話には聞いても実感できない。そうだな、ゴブリンの臭さなんかは、聞いているのと実際嗅いだとでは違うだろ?」
「たしかに、ゴブリンの臭さは聞いた話と実際に嗅いだ時とは比べられないよ」とうんうんとクロエが頷いている。
「結構話がずれたけど、焚き火より強く熱い炎があり、その熱さを理解できると青い炎に行き着くというわけさ」
「焚き火と青い炎の差は?」
「例えれば焚き火は鉄が持てないほど熱くなるけど、青い火は鉄が真っ赤になって形が変わるかな。実際は時間を掛けて少し工夫をすれば焚き火でも鉄は真っ赤になるけどね」
「分かった。それだけ凄い魔法を使えるようになったんだね」
3人は、まだ十分に理解できていないようだが、雰囲気は伝わったようだ。
4人とも難しい話をして頭が痛くなったものの、体力と魔力が回復したので立ち上がった。
本道に戻り奥に向けて慎重に進む。脇道にはロックタートルはおらず最奥までまで進むとコロシアムみたいに円形になった直径100メートルは有ろう空間が広がった。
そこには、3匹のロックタートルが岩を食っていたり寝そべっていたりしている。一匹なんて半分壁に体を埋めて居るぐらいだ。
クロエが中央に寝そべっているタートルに突撃をかます。
俺もすぐに発動できるよう魔力を練り上げる。
眠りを妨げられたタートルは、最初からヘイトが高い。よほど起こされたのがお気に召さなかったようだ。ソフィアとジェシカが援護射撃を行う。
口を開け、首を振っていたタートルにジェシカのファイアボールが飛び込み、運悪く食われてしまった
此方を向いたタートルの口から炎がチロチロと出ている。
口を開けると火炎放射を仕掛けてきたのでステップで躱すと俺の居たところは焦げていた、そしてなおも俺を焼き殺そうと追随してくるのだった。
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