第3話 馬車の中で
馬車の中は、1メートル×1.5メートル程で2人掛けの対面シートがあり、ジャンを片方に寝かしつけ。エルザベートと並んで座る。ダグラスとフィリップは御者席にアリエルはジャンの看病のため床に女の子座りをしている。
記憶がないことを理由に、この世界の常識とかを尋ねることにした。
今居るところは、トルモンド王国と言うところで
貨幣については、単位はLu(ルー)、順に小銅貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨と8種類あり小銅貨10枚で銅貨1枚、銅貨10枚で大銅貨1枚という風に上がるらしい。ちなみに果実1個が銅貨2枚で買える。やはり思ったとおり現代の価値で銅貨が100円ぐらいになるようだ。俺が持っている小さい銅貨と思っていた銅貨は普通の銅貨だった。
後、身分制度があり、国王のしたに貴族がいて貴族の中には領地を納める領主貴族と領地を持たない法官貴族いわゆる政務を司る貴族がいる。一般市民は平民と呼ばれるらしい。
姓は、貴族のみで平民で大きな企業者とその家族は屋号を姓の代わりに使うことがあるとのことでした。
互助組合いわゆるギルドがあり冒険者ギルド、商業ギルド、鍛冶ギルド、魔法師ギルド等があるんだって。お約束通り魔法のある世界だったか!
奴隷もいて、税を払えないで平民から落とされた者や、身売りでなる借金奴隷と犯罪を犯してなる犯罪奴隷で、奴隷にはある程度の身の安全が保証されており、食事を与えない、鞭打たないなどがあるが重犯罪を犯して犯罪奴隷になった者は、危険な場所での重労働を強いられるので例外とのことで借金奴隷は、お金を払えば平民に戻ることが出来るのだそうだ。
「とこんな所ですね。それでは、助けていただいた報酬の話をしましょうか?」
と言われたが、「嫌々、偶然通りがかりですし。知らんぷりすると目覚めが悪いですから」と断ろうとすると、冒険者のルールに、他人の獲物は横取りしない、命の危険があれば助けると言うのがあり今回のケースに該当するのだそうだ、でないと冒険者のなり手が居なくなり結果、魔物の討伐が出来ないことで食料事情や村などの治安維持に支障を来すとのこと、俺冒険者じゃなんだけどな。
今回の魔物はオークキングとオーク1部隊の巡回組に偶然見つかったうえの戦闘らしい、1部隊と言うことは後4匹も居たのか。
討伐したオークキング達はダグラスさんが魔法の袋に回収していてくれていたらしい。
加勢しなかったら命がなかったと言われ、同行もマグノリアまでの護衛と言うことになり総額で300万Luで話が落ち着いた。
「ところで、マグノリアについたらどうする予定ですか?」
「宿を取って、何か仕事を探すよ。その前に持ってる物で売れる物は売りたいな。さっきのでだいぶ懐は温かくなったが、無限ではないしね。ただなんか疲れたから毎日あくせく働かないですむようなのをね、ちょっと贅沢かな?」
「いいえ。それでしたら、冒険者ギルドに入って依頼をこなせば好きなときに仕事が出来るし、あなたなら高難度の依頼もこなせるでしょう?。魔物の素材ならギルドで買い取ってくれますし。」と微笑んで教えてくれた。
「あなたの鞄、魔法鞄でしょ?珍しい形をしていますけど」と前置きをして魔法鞄について説明をしてくれる。
魔法鞄には、安くて300万Luから購入出来る100キロ程度の容量制限がある物から、容量無制限の物で、滅多に市場に出回らない商人にはのどから手が出るほどにほしいが、値段がつけられない貴重な物まであるんだと。
ただ、商人達は個人の魔法登録が出来る物で、登録した人でない者には扱えない魔法鞄が一般的だとか。
「なんか、袋の大きさには不釣り合いな量が入っているので変だと思ったけど魔法鞄か、教えてくれてありがとう。」
「では、あなたが倒したオーガキングとオーガをおかえしいたしますね。」と言うと背にしている御者席と隔てる小窓をコンコンコンとたたいた。
小窓がスーと開いて袋が差し出されてエリザベートが受け取る。
「袋と袋の口を合わせてください。それで素材はそちらの袋に移動しますから」と袋の口を広げて俺の方に向けてきた。
持っている袋の口を広げて合わせると袋の口同士が淡く光る。光が収まると袋を外しまだあいていた窓に返すと小窓が閉じられた。
「これで、素材はそちらに移動しました。マグノリアについたら冒険者登録の後、売却したらいいですよ。」と微笑んできた。
微笑まれるたびに、心臓の高鳴りがひどくなる。俺の女の子耐性低くね?でも、密閉した車内に女の子2人が居ることによって甘い香りが充満しているしこんな美少女と長時間話したことがないので仕方がないのかな。
話をしている間に、山を抜け平地に出て来た。麦畑が延々と広がる穀倉地帯の様だぽつりぽつりと集落が点在していて遠くに都市と思われる城壁が見える。
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